sine qua non も参照。

ラテン語

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成句

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condiciō(conditiō) sine quā nōn複数condiciōnēs(conditiōnēs) sine quibus nōn

  1. あれなければこれなし」(sine quā nōn) という条件 (condiciō)。必要条件法律学因果関係論において事実的因果関係の前提とされるものである。民法不法行為法では故意過失損害との間で問題になる(あれば損害を賠償する責任を負うが、なければ損害を賠償しなくてよい。)。刑法構成要件論においては法益侵害すなわち構成要件的結果が発生した場合に実行行為結果との間で問題になる(あれば結果犯であるがなければ精々未遂犯。)。故意作為犯についてあてはまるが、過失犯や不作為犯についてはあてはまらず、これらについては別の仮定的因果経過などの理論構成が考えられている。

語源

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女性単数名詞condiciō(conditiōとも。もともと古典ラテン語で「コンディキオー」と発音されたcondiciōが、時代が下るにつれて「コンディツィオ(ー)」と発音されるようになり誤字としてconditiōという綴りが生まれた。同様の現象が俗ラテン語あるいは中世ラテン語の他の単語に見られる。フランス語conditionはこの誤字に由来する。以下ではcondiciōに統一する。)「(その)条件」+前置詞sine(名詞、代名詞、又は関係代名詞の奪格形を伴って)「~なしで」「~がなければ」+関係代名詞quā(quīの女性単数奪格形。先行詞はcondiciō。)+否定詞nōn

sine以下を関係代名詞をつかわずに表せば、
sine condiciōne nōn
「その条件がなければ~ない」
となる。ここでcondiciōneはcondiciōの単数奪格形である。
ラテン語にはギリシャ語やロマンス諸語に見られるような冠詞が使われていなかったので、関係代名詞の先行詞となる名詞であっても定冠詞がなかった。従ってcondiciōは「その条件」と訳してよい。

なお、condiciōnēsはcondiciōの複数(主格)形で、quibusはquīの女性複数奪格形であり、先行詞はcondiciōnēsである。

複数形についてもsine以下を関係代名詞をつかわずに表せば、
sine condiciōnibus nōn
「その諸条件がなければ~ない」
となる。ここでcondiciōnibusはcondiciōの複数奪格形である。

以上から、この成句の意味は「なければ(結果が)無いであろう条件」であり、日本語では「あれなければこれなし」と訳される。

派生語

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  • ドイツ語: Die Conditio-sine-qua-non Forme
  • フランス語: la condition sine qua non
  • イタリア語: conditio sine qua non

翻訳

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