njege
キクユ語
編集語源
編集Hinde (1904) は英語 porcupine にあたるキクユ語「ジョゴウィニ方言」(Jogowini dialect)の訳語として njege を記録している[1]。
- IPA: /ndʑɛːɣɛ/
- 最初の e は長母音である[2]。
- Benson (1964:xxii–xxiii) によると孤立形の声調パターンは「中高」であるが、前に nĩ を置いて Nĩ njege.「ヤマアラシである。」と言う場合は nĩ を含めて「高、中、高め」、前に ti を置いて Ti njege.「ヤマアラシではない。」と言う場合は ti を含めて「高、下降、中」となるなど、前後に他の語が存在するか、存在する場合はどのような種類の語であるかによって声調の変動が見られる。Benson (1964) では声調クラスの分類は「クラス5」で、他に同クラスの2音節語幹語には kĩrungu、kĩenyũ などがある。
- 〔キアンブ方言〕湯川 (1981) では njeege として kĩohe、rĩĩtwa、gĩcicio、icungwa、igongona などと共に「移動型」アクセントの名詞に分類されている[3]が、湯川 (1985) ではこれら「移動型」の名詞は mũthũ、mũcibi、ikabũ、njata、mũthee、mahũa、ithanwa、kang'aurũ、mwatũka、ndarathini〈果物の一種〉、Gĩgĩkũyũ などと同じ「高高型」に統合されている[4]。
- 〔リムル方言〕湯川 (1981:93) によると孤立形は [ǹdʑɛ̀ɛ̀ɣɛ́] であるが、後ろに ĩno〈この〉が続く場合は [ǹdʑɛ̀ɛ́ɣɛ̀ ènɔ́]、yakwa〈私の〉が続く場合も [ǹdʑɛ̀ɛ́ɣɛ̀ jáákòà]、後ろに nĩ がある場合も [ǹdʑɛ̀ɛ́ɣɛ̀ né] で、前に nĩ がある場合は [né ńdʑɛ̀ɛ̀ɣɛ́]、前に ti がある場合は [tì ńdʑɛ́ɛ̀ɣɛ̀] となるなど、前後に他の語が存在するか、存在する場合はどのような種類の語であるかによってアクセントの変動が見られるが、孤立形と nĩ や ti の後の場合は kĩhaato などと、〈この〉、〈私の〉や nĩ の前の場合は mũbira、ndira などと同様のパターンである[3]。なお、ti の高さについてはリムル方言と同じくキアンブ方言に属するナイロビ方言を調査した湯川 (1985:199) で高いと訂正されている[4]。
- 〔ナイロビ方言〕湯川 (1985:194,198,200) において孤立形や yakwa の前、nĩ や ti の後にある場合の分析が行われているが、ti が明確に高声調とされている点を除けばいずれも上記のリムル方言と同様である[4]。
名詞
編集njege クラス9/10(複数: njege)
関連語
編集名詞:
脚注
編集- ↑ Hinde, Hildegarde (1904). Vocabularies of the Kamba and Kikuyu languages of East Africa, pp. 46–47. Cambridge: Cambridge University Press.
- ↑ 2.0 2.1 "njege" in Benson, T.G. (1964). Kikuyu-English dictionary, p. 332. Oxford: Clarendon Press.
- ↑ 3.0 3.1 湯川恭敏 (1981).「キクユ語名詞アクセント試論――リムル方言について――」 『アジア・アフリカ言語文化研究』22, 75-123.
- ↑ 4.0 4.1 4.2 湯川恭敏 (1985).「キクユ語名詞アクセント再論」 『アジア・アフリカ言語文化研究』29, 190-231.
- ↑ Barlow, A. Ruffell (1960). Studies in Kikuyu Grammar and Idiom, p. 235.
- ↑ Leakey, L. S. B. (1977). The Southern Kikuyu before 1903, v. I, p. 456. ISBN 0-12-439901-0