うそぶく
日本語
編集動詞
編集うそぶく【嘯く】
- しらないふりをする。そらとぼける。
- その後、企業側が驚いたことに、カラハミ大公は心変わりして、鉱山をロシア会社の抵当に入れてしまった。企業側が採掘権に現金を支払ったと抗議したが無駄だった。金など受け取ってないと、カラハミ大公は平然とうそぶく。(フレッド・M・ホワイト、奥増夫訳「諜報部秘話 第四話 アルメディ採掘権」)
- 強気で大きなことを言う。威勢のいいことを言う。豪語する。大言壮語する。
- このごろ田の中で、からからからからと歯切れよく鳴く声が、ときに盛んに、ときに烈しく聞える。ある者はたにしだと言って、たにしの声を知ることに鼻うごめかし通がる。なに、あれは蛙だと、うそぶく。(北大路魯山人「田螺」)
- おかしなことを口にする。いい加減なことを言う。
- またうつらうつら仮睡が襲つて来る。私はその快さに身を委せてゐたが、ぐうつと腹がなつたのには、自分で驚いて、眼をさました。腹がへつて来たのだ。苦笑すると、また、こんどはもつと大きく鳴つた。/――飢ゑか、飢ゑ来りなば死遠からじか。/そんな莫迦気たことをぼんやりした頭で嘯いてゐるのも、まだ十分眠りから、自分を取り戻してゐないからであつた。(武田麟太郎「大凶の籤」)
- 猛獣がほえる。鳥が鳴く。音を鳴らす。
- 土堤を降りた向側は山大に松倉、鋳物工場らしく、ハンマーの音が高らかに響き、エンジンが陽気に嘯く。(戸田豊子「鋳物工場」)
- 落葉樹が寒風に嘯き早春の欅の梢が緑の薄絹に掩われるのも、それは皆すべて植物の生理的必然の作用に他ならない。(佐左木俊郎「季節の植物帳」)
- (古用法) 口をすぼめて息を出す。口笛を吹く。
- (古用法) 詩歌を口ずさむ。