なれる 【慣れる・馴れる・狎れる】(「狎れる」は稀)
- 何度か経験し、特別に気を遣う必要がなくなる。
- 運転が馴れるのに随って車はかなり自由に操縦することが出来た。(横光利一 『旅愁』 1937-1946)
- 長い間その状態におかれるなどして、特別なことだと思わなくなる。
- 空襲による東京の変貌は想像以上のものがありました。彼が落着いた本郷の一隅は、(中略)大体は小さく区切られて耕作され、麦の葉が風にそよぎ、豆類の花が咲き、雑草が伸びていました。(中略)この村落風景が、初めは異様に感ぜられましたが、馴れるにつれて、それはもう都会の廃墟とは思えず、田園そのものとして楽しまれました。(豊島与志雄 白蛾 1946)
- 時間が経って、落ち着く。
- 一週間ほど塩に漬けますと、味がなれてまろやかになってきます。
- (狎れる) 気を許す。形式的な態度ではなく、リラックスした態度で接するようになる。
- 礼儀を失する。
- 軍部は実業家・政治家、それから地主の云いたくて仕方のないことを、率直に、統一して纒めて云って呉れているに過ぎない。このパンフレットの発表の動機や時期などを兎や角問題にするのは、云わばこの有難い恩に狎れるというものだろう。(戸坂潤『社会批評』1934)
- (馴れる)獣が人に気を許す。人への警戒心をとく。
活用と結合例
各活用形の基礎的な結合例
意味 | 語形 | 結合 |
否定 | なれない | 未然形 + ない |
意志・勧誘 | なれよう | 未然形 + よう |
丁寧 | なれます | 連用形 + ます |
過去・完了・状態 | なれた | 連用形 + た |
言い切り | なれる | 終止形のみ |
名詞化 | なれること | 連体形 + こと |
仮定条件 | なれれば | 仮定形 + ば |
命令 | なれろ なれよ | 命令形のみ |