古典日本語
語源
「ま」(目) + 「くはし」(細し)
形容詞
まぐはし【目細し】
- (上代)見た目に美しい
- 之母都家野 美可母乃夜麻能 許奈良能須 麻具波思児呂波 多賀家可母多牟(万葉集 3424)
- 下毛野 三毳の山の 小楢のす 目細し児ろは 誰が笥か持たむ
- 下野の御鴨山の小楢の様に、美しい人は、誰の御帰りを迎えるとて、飯を盛っている事だろう。外の人の為ではなく、私の為だ。[1]
- 山見者 高貴之 河見者 左夜氣久清之 水門成 海毛廣之 見渡 嶋名高之 己許乎志毛 間細美香母 挂巻毛 文尓恐 山邊乃 五十師乃原尓 内日刺 大宮都可倍 朝日奈須 目細毛 暮日奈須 浦細毛(万葉集 3234)
- 山見れば 高く貴し 川見れば さやけく清し 水門なす 海もゆたけし 見わたす 島も名高し ここをしも まぐはしみかも かけまくも あやに畏き 山辺の 五十師の原に 内日さす 大宮仕へ 朝日なす まぐはしも 夕日なす うらぐはしも
- 山を見ると、高く尊く見える。川を見ると、さわやかに綺麗に流れている。水門で口を閉じた海も、広い事だ。ずっと見渡す島の名も、評判に聞いたものばかりだ。此点をば、見た目が心持ち好い、と言うのであろうか。口の端に懸けて申すも畏れ多いが、山(ノ)辺の里の五十師原に、御所を造え奉って仰ぎ見ると、朝日の様に、見た目が立派な事だ。又夕日の様に、壮麗な事だ。[1]
基本形 |
語幹 |
未然形 |
連用形 |
終止形 |
連体形 |
已然形 |
命令形 |
活用の種類
|
まぐはし
|
まぐは
|
(-しく)
|
-しく
|
-し
|
-しき
|
-しけれ
|
○
|
シク活用
|
-しから
|
-しかり
|
○
|
-しかる
|
○
|
-しかれ
|
出典
- ↑ 1.0 1.1 折口信夫「万葉集」(ただし一部表記を改めた)