一年(いちねん)
- ある時期から数えて、365日または366日、12か月に相当する期間。
- わたしは一年ちかくも国元へ戻らず音信不通だつた。(牧野信一「わが生活より」)〔1935年〕[1]
- 私は、一年に二回ずつ破産してはまた出発し直して生きて来ていたわけである。(太宰治「十五年間」)〔1946年〕[2]
- 村尾庄司が突然行方をくらましてから、一年ほどたって、島村陽一は意外なところで彼に出会った。(豊島与志雄「道化役」)〔1934年〕[3]
- ある年の1月1日から12月31日までの期間。
- あけましてお目出とう。今年もまたいい一年を暮しましょうね。(宮本百合子「獄中への手紙」)〔1939年〕[4]
- 年の暮れまでにはまだ一月あるが、神宮の大会が終ると私はなんだか自分の生活の一年が終ったような気がする。(人見絹枝「世界記録と私」)〔1929年〕[5]
- 人は一年の終りになると、それぞれ自分の好きな来年の季節を待つものだが、私は何となく夏を待つ。(横光利一「琵琶湖」)[6]
- 学校の一年生。
- 「一年から順に前へおい。」そこで一年生はあるき出し、まもなく二年生もあるき出してみんなの前をぐるっと通って、右手の下駄箱のある入り口にはいって行きました。(宮沢賢治「風の又三郎」)〔1934年〕[7]
- 中学の一年か二年の時に習つたチヨイス読本の中にあつた“LAZY RAT”といふ章を私は覚えてゐた。(牧野信一「鸚鵡の思ひ出」)〔1924年〕[8]
- 小学の一年で三度も学校を変えさせられた私は、今度はもとの伯母の家からではなく、祖父の大きな肩の見えた家から学校へ通った。(横光利一「洋灯」)〔1948年〕[9]