憎まれっ子世にはばかる(「憚る」)
- 他人に嫌われるくらいの人の方が、世に出た後に、幅をきかせることができるものである。
- 「でどうなの、アクシーニヤ……あの……」と、彼女の前に立って歩きながら、若いおかみさんが言った、――「お前さんの子は生きてるかい?」「生きとりますよ、おかみさん、生きとりますよ――どうして中々! 憎まれっ子、世にはばかるって、この事でございますよ。」「いったい誰の胤なのさ?」「いえなに! つまりまあ、父なし児でございますよ――こうして大勢の男衆にまじっていますもんで――父なし児でございますよ。」(ニコライ・レスコフ 神西清訳『ムツェンスク郡のマクベス夫人』)
- まるで、親に憎まれているかのように甘やかされずに育った人の方が、世に出た後に、しっかりと幅をきかせることができるものである。(幸田露伴『東西伊呂波短歌評釈』における解釈)