日本語 編集

動詞 編集

ずる (そんずる)

  1. (やや古風)損じる」に同じ。
    • 1910年、伊藤左千夫「去年」[1]
      臆病心がいよいよこうじてくると、世の中のすべての物がことごとく自分を迫害するもののように思われる。強風が吹いて屋根の隅でも損ずれば、風が意地わるく自分を迫害するように感ずる。
    • 1925年、谷崎潤一郎「蘿洞先生」[2]
      相手が片々たる雑誌記者だと侮ったのかも知れないが、何にしてもこの物臭い風つきは小ざっぱりした部屋の空気に調和しないばかりでなく、蘿洞先生の威厳を損ずる

活用 編集

損-ずる 動詞活用表日本語の活用
サ行変格活用
語幹 未然形 連用形 終止形 連体形 仮定形 命令形

ずる ずる ずれ ぜよ
じろ
各活用形の基礎的な結合例
意味 語形 結合
否定 損じない 未然形 + ない
否定 損ぜず 未然形 +
自発・受身
可能・尊敬
損ぜられる 未然形 + られる
丁寧 損じます 連用形 + ます
過去・完了・状態 損じた 連用形 +
言い切り 損ずる 終止形のみ
名詞化 損ずること 連体形 + こと
仮定条件 損ずれば 仮定形 +
命令 損ぜよ
損じろ
命令形のみ

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  1. 青空文庫(2006年7月18日作成)(底本:「野菊の墓他六篇」新学社文庫、新学社、1982(昭和57)年6月1日重版)https://www.aozora.gr.jp/cards/000058/files/1199_23801.html
  2. 青空文庫(2021年7月9日作成)(底本:「潤一郎ラビリンスⅡ――マゾヒズム小説集」中央公論社、1998(平成10)年6月18日発行」岩波現代文庫、岩波書店、2006(平成18)年3月16日第1刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/001383/files/59510_73708.html