江戸の敵を長崎で討つ
- 意外な所、時または筋違いなことで、過去の仕返しをすること。
- 江戸の敵を長崎で討つということあり。「世の中の事は概して江戸の敵を長崎で討つものなり。在野党の代議士今日議院に慷慨激烈の演説をなして、盛んに政府を攻撃したもう。至極結構なれども、実はその気焔の一半は、昨夜宅(うち)にてさんざんに高利貸を喫(く)いたまいし鬱憤と聞いて知れば、ありがた味も半ば減ずるわけなり。(徳冨蘆花『不如帰』)
語源は「江戸の敵を長崎が討つ」とする説がある。
- 由来は江戸時代、大阪の見世物師が江戸で大当たりをしたため、江戸の見世物師はおもしろくない。その時、長崎からポルトガルやオランダのビードロ細工やギヤマン細工の見世物が江戸へやってきたので、大阪の見世物師もかなわず、たちまちさびれてしまった。これを見た江戸っ子たちが溜飲をさげて「江戸の敵を長崎が来て討つ」といったことからきた。「がきて」が「で」に変化して申し伝えられた。