陪する
日本語
編集動詞
編集陪する (ばいする)
- (自動詞, 文章語) 〔目上の人に〕御供する。〔目上の人が催す行事に〕出席する。
- 1917年、原勝郎「東山時代における一縉紳の生活」[1]
- さてこの文才の秀でた実隆が、侍従として朝夕奉仕し、たんに表立った儀式に臨んだのみならず、内宴その他の宮中燕安の席にも陪し、その光景を日記に書きしるしておいたのが、これまた後世の人に教うるに、当時の九重の奥にも、いかに下ざまに流行した趣味好尚が波及しておったかをもってする貴重なる史料で、換言すれば日本の文化史に、大なる貢献をなしているのである。
- 1924年、永井荷風「下谷叢話」[2]
- あたかもこの時江戸にあって大沼枕山は十月二十五日津山侯の隠居松平確堂が高田村の下屋敷に催した酒宴に陪して林泉の美を詠じている。
- 1928年、折口信夫「神道に現れた民族論理」[3]
- […]江家次第の類を見ると、まだ中臣女・物部女などの記載があつて、殊に、中臣女が屡、目に著く。此記録の書かれた時分には、既に固定して、無意味となつて了うてゐるが、これは元来、天皇陛下の御禊に陪して、種々のお手助けをする女である。
- 1928年、羽田亨「賢所御神樂の儀」[4]
- 文武百官を初め、國政に參與するを許されて、我等の推した選良の士も、洩れなくこのゆかしき盛儀に陪し、親く大詔を蒙つたのである。
- 1917年、原勝郎「東山時代における一縉紳の生活」[1]
活用
編集サ行変格活用 | ||||||
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語幹 | 未然形 | 連用形 | 終止形 | 連体形 | 仮定形 | 命令形 |
陪 | し せ さ |
し | する | する | すれ | せよ しろ |
意味 | 語形 | 結合 |
---|---|---|
否定 | 陪しない | 未然形 + ない |
否定 | 陪せず | 未然形 + ず |
自発・受身 可能・尊敬 |
陪される | 未然形 + れる |
丁寧 | 陪します | 連用形 + ます |
過去・完了・状態 | 陪した | 連用形 + た |
言い切り | 陪する | 終止形のみ |
名詞化 | 陪すること | 連体形 + こと |
仮定条件 | 陪すれば | 仮定形 + ば |
命令 | 陪せよ 陪しろ |
命令形のみ |
註
編集- ↑ 青空文庫、2005年1月5日作成(底本:「現代日本思想大系27 歴史の思想」筑摩書房、1965(昭和40)年1月15日発行)https://www.aozora.gr.jp/cards/001037/files/4995_17362.html
- ↑ 青空文庫、2021年11月27日作成、2021年12月6日修正(底本:「下谷叢話」岩波文庫、岩波書店、2009(平成21)年7月9日第2刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/001341/files/58863_74600.html
- ↑ 青空文庫、2007年7月13日作成、2011年2月27日修正(底本:「折口信夫全集 3」中央公論社、1995(平成7)年4月10日初版)https://www.aozora.gr.jp/cards/000933/files/18410_27479.html
- ↑ 青空文庫、2020年4月28日作成(底本:「羽田博士史學論文集 下卷 言語・宗教篇」東洋史研究會、1958(昭和33)年11月3日第1刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/001324/files/48188_70986.html