日本語 編集

副詞 編集

いまにも今にも

  1. 係る用言の内容はまだ起きていないが、瞬間あるいはとても短い時間に起こすような様相主語が示していることを表す。
    • 1940年、小川未明「少年の日二景」[1]
      そのとき、やぶの方から垣根をくぐって、黒い一筋の糸のように、なにか走ってきたので、その方を見ると、大きなへびが、一ぴきのかえるを追いかけているのです。かえるは、いまにもへびに捕らえられようとしました。
    • 1945-1946年、海野十三「火星探険」[2]
      艇内は混乱の極に達した。はげしい震動が相ついで起った。艇はいまにもばらばらに分解して四散しそうであった。
    • 1953年、梅崎春生「魚の餌」[3]
      兄は警戒の色をますます深め、じっと僕をにらんでいる。にらむとこの子はやや眇目になるのだ。弟の方の顔はしだいにくずれて、今にも泣き出しそうな顔になった。
  2. (稀用) (条件文などで用いて、非様相の意味で)本当
    • 1919年、芥川龍之介「窓」[4]
      今にもあの電鈴の愉快な音が、勢よく家中に鳴り渡つたら、おれはこの肱掛椅子から立上つて、早速遠来の珍客を迎へる為に、両腕を大きくひろげた儘、戸口の方へ歩いて行かう。
    • 1928年、夢野久作「瓶詰地獄」[5]
      [……]あの高い崖の上に私がたった一人で登って、いつも二、三匹のフカが遊び泳いでいる、あの底なしの淵の中を、のぞいてみた事は、今までに何度あったかわかりませぬ。そこから今にも身を投げようと思ったことも、いく度であったか知れませぬ。
    • 1936年、米川正夫訳、ソログーブ・フョードル「身体検査」[6]
      それはもちろん、いいことだけれど、やがて今にもママが行ってしまうと、シューラは破れたシャツを着て、学校へ出かけなければならなくなる――そうしたら、シャツは晩までには、どんなになるかわかりゃしない!

翻訳 編集

語義1

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  1. 青空文庫、2018年4月26日作成(底本:「定本小川未明童話全集 13」講談社、1983(昭和58)年1月19日第5刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/001475/files/51583_64625.html
  2. 青空文庫、2005年2月21日作成(底本:「海野十三全集 第11巻 四次元漂流」三一書房、1988(昭和63)年12月15日第1版第1刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/000160/files/3049_17914.html
  3. 青空文庫、2016年1月1日作成(底本:「日本掌編小説秀作選 下 花・暦篇」光文社文庫、光文社、1987(昭和62)年12月20日初版1刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/001798/files/57172_58254.html
  4. 青空文庫、2007年6月27日作成(底本:「筑摩全集類聚 芥川龍之介全集第四巻」筑摩書房、1979(昭和54)年4月10日初版第11刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/000879/files/3805_27350.html
  5. 青空文庫、1998年11月10日公開、2019年4月21日修正(底本:「夢野久作怪奇幻想傑作選 あやかしの鼓」角川ホラー文庫、角川書店、1998(平成10)年4月10日初版発行)https://www.aozora.gr.jp/cards/000096/files/2381_13352.html
  6. 青空文庫、2016年1月1日作成(底本:「日本少国民文庫 世界名作選(一)」新潮文庫、新潮社、2003(平成15)年1月1日発行)https://www.aozora.gr.jp/cards/001199/files/56654_58181.html