日本語 編集

助詞 編集

たり(連用形接続 撥音「ん」またガ行のイ音便に続く時は「だり」となる。するを後置することが多い)

  1. (「~たり、~たり」の形で)動作の並列や繰り返しなどをあらわす。
    • 漢学の先生は蒟蒻版を畳んだり、延ばしたりしてる。(夏目漱石 『坊っちゃん』)
    • 行ったり来たりをくりかえす。(格助詞が後置する準体助詞的用法。「たり」のあとに「するの」が省略されているとも考えられる)
    • 歌ったり踊ったり、楽しいひとときを過ごした。(副詞的用法。「たり」のあとに「して」「しながら」等が省略されているとも考えられる)
  2. しばしば行うことをあらわす。
    • 彼の気にしていた頭も、この頃ではだいぶ危険に逼っているだろうと思って、その地の透いて見えるところを想像したりなどした。(夏目漱石 『行人』)
  3. 例示をあらわす。
    • ものをこわがらな過ぎたり、こわがり過ぎたりするのはやさしいが、正当にこわがることはなかなかむつかしいことだと思われた。(寺田寅彦 『小爆発二件』)
  4. 可能性を表す。
    • 女優A あゝあ、誰かあたしを漫画に描いてくれないかなあ。/男優B 漫画の方が美人だつたりしてね。(岸田國士 『喧嘩上手(トオキイ脚本)』)
  5. (口語的、時に滑稽)事態や状況などを軽く強調する。
    • まだ半分もできていないのだが、締め切りは実は明日だったりする。

語源 編集


古典日本語 編集

語源1 編集

  • 古典日本語完了の助動詞「」の連用形「」+動詞「あり」より。

助動詞 編集

たり

  1. (状態の継続)~している。
  2. (動作等の完了後結果の継続)~た、~した。
    • それを昔の契りありけるによりなむ、この世界にはまうでたりける。(竹取物語
    • 冬はつとめて。雪の降りたるは言ふべきにもあらず。(清少納言枕草子』)
用法 編集

ラ変活用以外の活用語の連用形に接続する。

活用 編集
未然形 連用形 終止形 連体形 已然形 命令形 活用型
たら たり たり たる たれ たれ ラ変型

語源2 編集

  • 古典日本語の格助詞「」+動詞「あり」より。

助動詞 編集

たり

  1. (断定)~である。
用法 編集

体言に接続する。

活用 編集
未然形 連用形 終止形 連体形 已然形 命令形 活用型
たら たり
たり たる たれ たれ タリ活用型

接尾辞 編集

たり

  1. 形容的漢語につきタリ活用形容動詞を形成する(助動詞と分けない見解もある)。

語源3 編集

不詳

接尾辞 編集

たり

  1. 和語数詞または不定を表す「いく」に付いて、人数を表す。