形容詞「ぬくい(古典日本語:ぬくし)」の自動詞化
ぬくもる【温もる】
- 温まる。あたたかくなる。
- 眼をとぢて日にぬくもれる緋鸚鵡の頬の毛脱けていたいたしげなり(中島敦 『河馬』「鸚鵡の歌」より)
- 昼近い陽にぬくもった松の樹脂の匂い、芝生から立ちのぼる見えない陽炎のようないきれ、それらが海近くの濃い純粋な空気の中でとけあっていて、目をつぶってころがっている桃子はただ日光がふり注ぐばかりでなく、ふんだんな光りと空気の微粒がぴちぴちと快く粒だって皮膚や髪の根にまでしみて来るような感じである。(宮本百合子 『夜の若葉』)
- 暖を取る。
現在は、どちらかと言えば文章語となり、口語として西日本で頻繁に用いられるが方言ではない。
活用と結合例
各活用形の基礎的な結合例
意味 |
語形 |
結合
|
否定 |
ぬくもらない |
未然形 + ない
|
意志・勧誘 |
ぬくもろう |
未然形音便 + う
|
丁寧 |
ぬくもります |
連用形 + ます
|
過去・完了・状態 |
ぬくもった |
連用形音便 + た
|
言い切り |
ぬくもる |
終止形のみ
|
名詞化 |
ぬくもること |
連体形 + こと
|
仮定条件 |
ぬくもれば |
仮定形 + ば
|
命令 |
ぬくもれ |
命令形のみ
|