日本語

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動詞

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便する (べんする)

  1. (自動詞, 文章語) (「~に便する」で)~に役立つ。~を行い易くする。
    • 1917年、原勝郎「東山時代における一縉紳の生活」[1]
      この内堀は東西南北の四面に在ったらしいが、東南の角だけは、後に埋め立てられて築山になった。これは多分物見に便するためであったろう。
    • 1936年、木暮理太郎「山の今昔」[2]
      今でこそ各地の高山に祭られた山宮は麓に里宮があって、老幼婦女の参拝にも便する為に、四季の祭は主として其処で行われているが、本来は山上にある可きものであったろう。
    • 1955年、江戸川乱歩「影男」[3]
      その男は、ぴったり身についた黒いシャツとズボン下のようなものを着ている。それは夜の保護色であり、また狭い円筒内の身動きに便したものであろう。

活用

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便-する 動詞活用表日本語の活用
サ行変格活用
語幹 未然形 連用形 終止形 連体形 仮定形 命令形
便

する する すれ せよ
しろ
各活用形の基礎的な結合例
意味 語形 結合
否定 便しない 未然形 + ない
否定 便せず 未然形 +
自発・受身
可能・尊敬
便される 未然形 + れる
丁寧 便します 連用形 + ます
過去・完了・状態 便した 連用形 +
言い切り 便する 終止形のみ
名詞化 便すること 連体形 + こと
仮定条件 便すれば 仮定形 +
命令 便せよ
便しろ
命令形のみ
  1. 青空文庫(2005年1月5日作成。底本:「現代日本思想大系27 歴史の思想」筑摩書房、1965(昭和40)年1月15日発行)https://www.aozora.gr.jp/cards/001037/files/4995_17362.html
  2. 青空文庫(2015年10月31日作成。底本:「山の憶い出 下」平凡社ライブラリー、平凡社、1999(平成11)年7月15日初版第1刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/001373/files/57035_57573.html
  3. 青空文庫(2019年7月9日作成。底本:「影男」江戸川乱歩文庫、春陽堂書店、1993(平成5)年11月20日新装第3刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/001779/files/58486_68507.html