日本語

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動詞

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する (しゅうする)

  1. (他動詞, 仏教) 仏教行事教えを〕行う
    • 1920年、芥川龍之介「或敵打の話」[1]
      二人は苦しい焦燥の中に、三年以前返り打に遇った左近の祥月命日を迎えた。喜三郎はその夜、近くにある祥光院の門を敲いて和尚に仏事を修して貰った。
    • 1934年、国枝史郎「あさひの鎧」[2]
      一緒にいるとは名目だけで、小次郎とも浮藻ともかけ離れ、別棟の高楼に一人で住んでいるのであった。写経をしているという噂でもあれば、秘法を修しているという噂でもあった。
    • 1936年、折口信夫「雛祭りとお彼岸」[3]
      だが普通彼岸会なるものは仏説によって成り立つというが、根底から仏教的のものではない。ただ彼岸会を修することのはじまった頃――凡そ平安朝初期とする説が正しかろう――には、春分・秋分の日から各七日間行ったことは事実で、ここから彼岸会の根本精神を解く手がかりも生ずる。
  2. (他動詞, 文章語) 学問などを〕修める。〔技術などを〕修得する。
    • 1895年、正岡子規「俳諧大要」[4]
      業余を以て俳句を修する者、自己の句と古句と暗合するあるも妨げず。ただ第三期にある者は暗合を以てその陳腐を抹殺し得べきに非ず。たまたま以て自己の浅学を証するのみ。
    • 1946年、永井荷風「佛蘭西人の觀たる鴎外先生」[5]
      氏は宮内省に入りてより同省の許可を得て現在は歴代の天皇の系譜を調査せり。此詩人にして藝術家たる氏は歴史を修するに當つて近世心理學の溌溂たる意義と獨得の文體とを并せ有する一派を興しぬ。

活用

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修-する 動詞活用表日本語の活用
サ行変格活用
語幹 未然形 連用形 終止形 連体形 仮定形 命令形


する する すれ せよ
しろ
各活用形の基礎的な結合例
意味 語形 結合
否定 修しない 未然形 + ない
否定 修せず 未然形 +
自発・受身
可能・尊敬
修される 未然形 + れる
丁寧 修します 連用形 + ます
過去・完了・状態 修した 連用形 +
言い切り 修する 終止形のみ
名詞化 修すること 連体形 + こと
仮定条件 修すれば 仮定形 +
命令 修せよ
修しろ
命令形のみ
  1. 青空文庫、1999年1月12日公開、2017年6月4日修正(底本:「芥川龍之介全集3」ちくま文庫、筑摩書房、1996(平成8)年4月1日第8刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/000879/files/73_15158.html
  2. 青空文庫、2018年11月24日作成(底本:「あさひの鎧(上)」国枝史郎伝奇文庫、講談社、1976(昭和51)年9月20日第1刷発行。「あさひの鎧(下)」国枝史郎伝奇文庫、講談社、1976(昭和51)年9月20日第1刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/000255/files/45546_66514.html
  3. 青空文庫、2019年2月22日作成(底本:「仏教の名随筆 2」国書刊行会、2006(平成18)年7月10日初版第1刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/000933/files/58286_67319.html
  4. 青空文庫、2016年9月25日作成(底本:「俳諧大要」岩波文庫、岩波書店、1989(平成元)年11月5日第8刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/000305/files/57350_60028.html
  5. 青空文庫、2018年12月24日作成(底本:「荷風全集第十五卷」岩波書店、1972(昭和47)年4月5日第2刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/001341/files/58693_66740.html