日本語

編集

成句

編集

(せっしやくわん 異綴:切歯搤腕、「」と「」は異体同字)

  1. 怒り悔しさのために歯ぎしりをしたり、(興奮して震える)手首を押さえたりして非常に悔しがる様子。
    • 「浅川は、司令部の御命令で、昨夜は、立川飛行聯隊の宿舎に閉じこめられ、切歯扼腕せっしやくわんしていました。この上は、早く敵機に、めぐり逢いたいであります」――海野十三 (1932年). “図書カード:空襲葬送曲”. 青空文庫. 2023年5月31日閲覧。
    • わが一族の若輩の切歯扼腕の情もいまは制すべきではない、老骨奮起一番して必ずこの幕府の奸を除かなければならぬ、――太宰治 (1943年). “図書カード:右大臣実朝”. 青空文庫. 2023年5月31日閲覧。
    • 東寧辺りでは、街路上で、邦人が、満人からむちうたれるのを目撃し、チチハルでは、日本人の娘子群が、満人から極端に侮辱されているのを視るなど、まことに切歯扼腕せざるを得なかった。――河本大作 (1954年). “図書カード:私が張作霖を殺した”. 青空文庫. 2023年5月31日閲覧。

発音

編集
せ↘っしや↗くわん

動詞

編集

由来

編集

以下の史書より。ただし、「切歯」と「扼腕」の組み合わせは中国本土では一般的でなく、朝鮮起源か日本起源。なお、「切齒拊心切齒腐心)」という成句は中国本土にもある。

  • 司馬遷史記・張儀列伝』
    是故天下之游談士莫不日夜搤腕瞋目切齒以言從之便以說人主
    このようであるから、世の中の遊説家で、終日、手首を押さえ、目を見開き、歯軋りして、合従の有利を国王に主張しない者はなかった。
  • 劉向戦国策・魏策』
    是故天下之游士莫不日夜搤腕瞋目切齒以言從之便以說人主。
    • (参考)『戦国策・燕策』
      樊於期偏袒扼腕而進曰此臣日夜切齒拊心也乃今得聞教遂自刎
      樊於期が肩脱ぎし震える手首を押さえ進み出て言った、「これが、私が昼夜を問わず歯噛みをし、思い続けていたことです。今ようやく聞くことができました」、そしてそのまま、自ら首をはねて果てた。