日本語 編集

動詞 編集

する (しゅうする)

  1. (自動詞, 文章語) 執着する。
    • 1930年、中井正一「絵画の不安」[1]
      そこには存在への執着もなく、強い把握もない。好奇は常にすべてに対して興味をもつとともに、しかも何ものにも執しない。
    • 1934年、萩原朔太郎「詩に告別した室生犀星君へ」[2]
      詩は少年や青年の文學だから、中年になつて詩に執するのは未練であり、潔よく捨ててしまふ方が好いと言ふのである。
    • 1944年、宮本百合子「獄中への手紙」[3]
      自分に執しているものは、自分より大きく成長出来なくて、つまりは世俗の成功だの不成功だのという目やすに支配され、とどのつまりは世俗の日記と一緒に歴史のつよく大きい襞の間にまぎれこんでしまいます。

活用 編集

執-する 動詞活用表日本語の活用
サ行変格活用
語幹 未然形 連用形 終止形 連体形 仮定形 命令形


する する すれ せよ
しろ
各活用形の基礎的な結合例
意味 語形 結合
否定 執しない 未然形 + ない
否定 執せず 未然形 +
自発・受身
可能・尊敬
執される 未然形 + れる
丁寧 執します 連用形 + ます
過去・完了・状態 執した 連用形 +
言い切り 執する 終止形のみ
名詞化 執すること 連体形 + こと
仮定条件 執すれば 仮定形 +
命令 執せよ
執しろ
命令形のみ

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  1. 青空文庫(2006年7月4日作成。底本:「中井正一評論集」岩波文庫、岩波書店、1995(平成7)年6月16日第1刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/001166/files/46163_23678.html
  2. 青空文庫(2020年7月27日作成。底本:「萩原朔太郎全集 第九卷」筑摩書房、1976(昭和51)年5月25日初版)https://www.aozora.gr.jp/cards/000067/files/59331_71438.html
  3. 青空文庫(2005年2月24日作成。底本:「宮本百合子全集 第二十二巻」新日本出版社、1986(昭和61)年3月20日第4刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/000311/files/33193_17924.html