日本語 編集

動詞 編集

じる (ぞんじる)

  1. (自動詞)思う」「考える」の謙譲語
    • 1920年、谷崎潤一郎「途上」[1]
      「いや、突然こんな所でお呼び止めして失礼だとは存じましたが、わたくしは実はこう云う者で、あなたの友人の渡辺法学士―――あの方の紹介状を戴いて、たった今会社の方へお尋ねしたところでした」
    • 1943年、山本周五郎「日本婦道記」[2]
      「こなたさまはいま伝四郎にあらぬ噂があると仰せられました、いやと申上げるまえにそれをうかがいたいと存じます、あらぬ噂とはどのような噂でございますか」
  2. (他動詞)知る」の謙譲語
    • 1938年、中谷宇吉郎「続先生を囲る話」[3]
      「君、ヴァイオリンの弓が長くて、セロの弓が短いのはどういう理由か知っていますか」という風な話になる。Sさんは急に恭謙な学生になって、「存じませんな」という。
    • 1940年、太宰治「女の決闘」[4]
      これは、いかにも不思議な作品であります。作者は、HERBERT EULENBERG. もちろん無学の私は、その作者を存じて居りません。

活用 編集

派生語 編集

編集

  1. 青空文庫(2016年9月9日作成)(底本:「文豪の探偵小説」集英社文庫、集英社、2006(平成18)年11月25日第1刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/001383/files/56849_60145.html
  2. 青空文庫(2019年12月27日作成)(底本:「山本周五郎全集第二巻 日本婦道記・柳橋物語」新潮社、1981(昭和56)年10月25日2刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/001869/files/57817_69966.html
  3. 青空文庫(2008年11月29日作成)(底本:「中谷宇吉郎集 第一巻」岩波書店、2000(平成12)年10月5日第1刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/001569/files/57462_69593.html
  4. 青空文庫(1999年12月7日公開、2004年3月4日修正)(底本:「太宰治全集3」ちくま文庫、筑摩書房 、1988(昭和63)年10月25日第1刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/000035/files/304_15063.html