日本語編集

動詞編集

する (たいする)

  1. (自動詞) あるものを行為目的又は目標とする。対象とする。向ける。
    • 1914年、伊藤野枝「編輯室より」[1]
      私は他人の作品に対して無暗とさう軽蔑したり悪く云つたりしたことは御座いません。何時でも私は自分で創作するときの気持や何かに思ひ合はせては他人のものを読んだり批評したりする時にはどんな小さなつまらないものに対しても相当の敬意を払ふことは忘れません。
  2. (自動詞) 対応する。じる。反応する。
    • 1921年、寺田寅彦「文学の中の科学的要素」[2]
      吾人が事象に対した時に、吾人の感官が刺戟されても、無念無想の渾沌たる状態においては自分もなければ世界もない。
  3. (自動詞) 向かい合う。向き合う。対峙する。
    • 1948年、若山牧水「みなかみ紀行」[3]
      乗鞍岳の北麓に当り、海抜四千八百尺、温泉宿の裏山に登ると殆んど相向いにこの火山と対することが出来た。
  4. (自動詞) 応対する。応接する。
    • 1924年、太宰治「饗応夫人」[4]
      おからだがいよいよお弱りになっていらっしゃるのが私にはちゃんとわかっていましたが、何せ奥さまは、お客と対する時は、みじんもお疲れの様子をお見せにならないものですから、お客はみな立派そうなお医者ばかりでしたのに、一人として奥さまのお具合いの悪いのを見抜けなかったようでした。
  5. (自動詞) 対戦する。相手として戦う。
    • 1924年、直木三十五「鍵屋の辻」[5]
      しかし真剣の立合はこれが始めてである。ただ敵に対した時の覚悟だけはちゃんとしていたらしい。美少年でも流石(さすが)は寛永時代の武士、中々味のある勝負をしている。
  6. (自動詞) 比較する。対比される。対照される。
    • 1941年、宮本百合子「女性の現実」[6]
      昭和十二年七月に事変が勃発してから僅か二年の間にさえ、若い女性たちの重工業への進出は金属工業で男が一六パーセント増したのに対して女子四二パーセント増しとなっている。

活用編集

対-する 動詞活用表日本語の活用
サ行変格活用
語幹 未然形 連用形 終止形 連体形 仮定形 命令形


する する すれ せよ
しろ
各活用形の基礎的な結合例
意味 語形 結合
否定 対しない 未然形 + ない
否定 対せず 未然形 +
自発・受身
可能・尊敬
対される 未然形 + れる
丁寧 対します 連用形 + ます
過去・完了・状態 対した 連用形 +
言い切り 対する 終止形のみ
名詞化 対すること 連体形 + こと
仮定条件 対すれば 仮定形 +
命令 対せよ
対しろ
命令形のみ

派生語編集

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  1. 青空文庫(2016年9月9日作成、底本:「定本 伊藤野枝全集 第二巻 評論・随筆・書簡1――『青鞜』の時代」學藝書林、2000(平成12)年5月31日初版)https://www.aozora.gr.jp/cards/000416/files/57142_60130.html
  2. 青空文庫(2006年7月13日作成、2016年2月25日修正、底本:「寺田寅彦全集 第五巻」岩波書店、1997(平成9)年4月4日発行)https://www.aozora.gr.jp/cards/000042/files/42704_23760.html
  3. 青空文庫(2000年1月24日公開、2005年11月5日修正、底本:「太宰治全集9」ちくま文庫、筑摩書房、1998(平成10)年6月15日第5刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/000162/files/56933_62144.html
  4. 青空文庫(2017年7月11日作成、底本:「みなかみ紀行」中公文庫、中央公論社、1993(平成5)年5月10日発行)https://www.aozora.gr.jp/cards/000035/files/291_20176.html
  5. 青空文庫(2000年8月23日公開、2000年9月20日修正、底本:「仇討二十一話 大衆文学館」講談社、1995(平成7)年5月20日2刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/000216/files/1069.html
  6. 青空文庫(2003年5月26日作成、底本:「宮本百合子全集 第十四巻」新日本出版社、1986(昭和61)年3月20日第5刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/000311/files/3133_10749.html