日本語

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動詞

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する (りっする)

  1. (他動詞) 物事をある基準判断処理する。
    • 1908年、夏目漱石「三四郎」[1]
      その代り西洋は写真で研究している。パリの凱旋門だの、ロンドンの議事堂だの、たくさん持っている。あの写真で日本を律するんだからたまらない。
    • 1924年、豊島与志雄「月評をして」[2]
      現在の作品を皆同一の標準で律すること、それが月評の務めでなければならない。勿論各作品が有する主張傾向色彩味雰囲気などはそれぞれ異るべきを考えれば、茲に云う標準ということは或る水準を指すものであって、点や線やではなく平面を指すことは断るまでもあるまい。
    • 1935年、戸坂潤「科学論」[3]
      科学は科学だ、自然科学の成果を以て哲学の根本問題を律することは、枝から幹を派生させるようなものだ、科学と哲学とはその立場が、アプリオリが、違っている。
  2. (他動詞) 統制する。管理する。制御する。
    • 1939年、梅崎春生「風宴」[4]
      規律正しい生活と、一秒一秒が退屈の分子をふくまない立派な生活をしよう。自分の生活をきびしく律する高邁な精神を本当に求めよう。私は熱い涙を流しながらそう思っていた。
    • 1941年、石原莞爾「戦争史大観」[5]
      どんな事があっても必ず達成しなければならぬ生産目標を明示し、各部門毎に最適任者を発見し、全責任を負わしめて全関係者を精神的に動員して生産増加を強行する。政府は各部門等の関係を勇敢親切に律して行く。そうすれば全日本は火の玉の如く動き出すであろう
    • 1984年、田川誠一、第101回国会参議院[6]
      総理がおっしゃられたことと大体同じでございますが、政治家は、もう党派を超えて、まず政治家として国民の代表として国民よりももっともっと厳しく政治責任を持ち、身を律していかなければならないというふうに思っております。

発音

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活用

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律-する 動詞活用表日本語の活用
サ行変格活用
語幹 未然形 連用形 終止形 連体形 仮定形 命令形

する する すれ せよ
しろ
各活用形の基礎的な結合例
意味 語形 結合
否定 律しない 未然形 + ない
否定 律せず 未然形 +
自発・受身
可能・尊敬
律せられる 未然形 + られる
丁寧 律します 連用形 + ます
過去・完了・状態 律した 連用形 +
言い切り 律する 終止形のみ
名詞化 律すること 連体形 + こと
仮定条件 律すれば 仮定形 +
命令 律せよ
律しろ
命令形のみ
  1. 青空文庫(2000年7月1日公開、2014年6月19日修正、底本:「三四郎」角川文庫クラシックス、角川書店、1997(平成9)年6月10日127刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/000148/files/794_14946.html
  2. 青空文庫(2005年12月8日作成、底本:「豊島与志雄著作集 第六巻(随筆・評論・他)」未来社、1967(昭和42)年11月10日第1刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/000906/files/42494_21115.html
  3. 青空文庫(2008年5月24日作成、2013年10月28日修正、底本:「戸坂潤全集 第一巻」勁草書房、1967(昭和42)年5月15日第3刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/000281/files/3590_31720.html
  4. 青空文庫(2016年1月1日作成、底本:「桜島・日の果て・幻化」講談社文芸文庫、講談社、1989(平成元)年6月10日第1刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/001798/files/56637_58253.html
  5. 青空文庫(2001年8月29日公開、2012年10月1日修正、底本:「最終戦争論・戦争史大観」中公文庫、中央公論社、1995(平成7)年6月10日5版)https://www.aozora.gr.jp/cards/000230/files/55635_49037.html
  6. 「第101回国会 参議院 予算委員会 第5号 昭和59年3月15日」国会会議録検索システム https://kokkai.ndl.go.jp/txt/110115261X00519840315/21 2022年6月11日参照。
  7. 7.0 7.1 大辞林松村明 編、三省堂、2019年、第4版。 ISBN 4-385-13906-7