日本語

編集

名詞

編集

沈思黙考 (ちんしもっこう)

  1. 静か黙ったまま、じっくり熟考すること。
    • 1939年-1943年、吉川英治「三国志」[1]
      いやいや、三度はおろか、きょうは終日、戦わんか、忍ばんか、幾十度、沈思黙考をかさねていたかしれないのだ。
    • 1950年、山本周五郎「思い違い物語」[2]
      こう呟いて、こんどは眼をつむり、両手を膝に置いて、かなり長いこと沈思黙考という態であったが、やがてその眼から、――こんどは嘘いつわりなしの、――涙がぽろぽろと頬を伝わって落ちた。

動詞

編集

沈思黙考する (ちんしもっこうする)

  1. (自動詞, 他動詞) 静か黙ったまま、じっくり熟考する。
    • 1936年、佐々木直次郎訳、チャールズ・ディッケンズ「二都物語」[3]
      その紳士というのは、頭髪の真白な点と、顔に一種名状しがたい強さがある点とで、極めて目に立つ外貌の男であった。強さと言っても活動的な強さではなくて、沈思黙考しているような強さであった。
    • 1964年、八木一男、第46回国会衆議院[4]
      しかし、いま御答弁になっておるその限界について、厚生大臣の責任を沈思黙考されまして、この壁を打ち破るべく決心を固められる必要があると思う。

活用

編集
沈思黙考-する 動詞活用表日本語の活用
サ行変格活用
語幹 未然形 連用形 終止形 連体形 仮定形 命令形
沈思黙考

する する すれ せよ
しろ
各活用形の基礎的な結合例
意味 語形 結合
否定 沈思黙考しない 未然形 + ない
否定 沈思黙考せず 未然形 +
自発・受身
可能・尊敬
沈思黙考される 未然形 + れる
丁寧 沈思黙考します 連用形 + ます
過去・完了・状態 沈思黙考した 連用形 +
言い切り 沈思黙考する 終止形のみ
名詞化 沈思黙考すること 連体形 + こと
仮定条件 沈思黙考すれば 仮定形 +
命令 沈思黙考せよ
沈思黙考しろ
命令形のみ
  1. 青空文庫、2013年7月11日作成、2015年7月24日修正(底本:「三国志(四)」吉川英治歴史時代文庫、講談社、2008(平成20)年12月1日第54刷発行。「三国志(五)」吉川英治歴史時代文庫、講談社、2010(平成22)年5月6日第56刷発行)https://www.aozora.gr.jp/cards/001562/files/52415_51066.html
  2. 青空文庫、2020年12月27日作成(底本:「山本周五郎全集第二十三巻 雨あがる・竹柏記」新潮社、1983(昭和58)年11月25日発行)https://www.aozora.gr.jp/cards/001869/files/57569_72463.html
  3. 青空文庫、2005年6月16日作成、2015年4月16日修正(底本:「二都物語 上巻」岩波文庫、岩波書店、1967(昭和42)年4月20日第26刷発行)https://www.aozora.gr.jp/cards/000914/files/43702_18511.html
  4. 「第46回国会 衆議院 社会労働委員会 第3号 昭和39年1月30日」国会会議録検索システム https://kokkai.ndl.go.jp/txt/104604410X00319640130/72 2024年3月1日参照