アイヌ語

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カナ表記 ティネ/テイネ

発音

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語源

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teyべとべとしたもの +‎ neである

動詞

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teyne (自動詞, 1項動詞)

  1. 湿しめている。ジメジメした。れた。水気みずけふくんだ。くさった。べとべとした。
    • ホシキヤンチブ・/マクン・マサル・/アコエタイヹ・/ドタヌ・ヤンチブ・/サンケマサル・/アコエタイヹ・/ドタヌ・ヤンチブ・/サトタカ・/アコエタイヘ・/ドタヌ・ヤンチブ・/テイネ・オタカ・/アコエタイヹ・/ドタヌ・ヤンチブ・/オリリ・シタイキ・[1]
      hoski yan cip / makun masar / a=koetaye / tutanu yan cip / sanke masar / a=koetaye / tutanu yan cip / sat ota ka / a=koetaye / tutanu yan cip / teyne ota ka / a=koetaye / tutanu yan cip / orirsitayki
      先に上陸する船は/奥の浜辺に/引き上げられ/次に上陸する船は/手前の浜辺に/引き上げられ/次に上陸する船は/乾いた砂浜の上に/引き上げられ/次に上陸する船は/湿った砂浜の上に/引き上げられ/次に上陸する船は/波に打たれている。
    • エコエンプイナ ヤクン アッ テイネ モシㇼ アㇻ ポㇰナシㇼ[2]
      e=koenpuyna yakun ar_ teyne mosir ar poknasir
      前にのめると、湿った世界、地下の世界に
    • イキ ワ イキ ㇷ゚ アナㇰネ アッ テイネ モシㇼ アコオテㇾケ クニ[3]
      iki wa iki p anakne ar_ teyne mosir a=kooterke kuni
      そうして(悪事を)したものは地獄へ蹴落とされる ように
    • ネイダクス・/アイヌラックル・/ヱネアンカムイ・/イルシカリチ・/ウヲクブンカルネ・/ヱナンクルカシ・/イブキタラ・/ヱナイヌサニ・/アビリカレンカブ・/イコレンカカ・/ソモキ・クス・/テイネモシリ・/ウバカシヌ・モシリ・/アオルラ・クニブ・/ネヒタバンナ・[4]
      ney ta kusu / Aynurakkur / ene an kamuy / iruska rici / uok punkar ne / enankurkasi / ipukitara / “wen aynu sani / a=pirkarenkap / i=korenka ka / somo ki kusu / teyne mosir / upakasnu mosir / a=orura kuni p / ne hi tapan na.”
      先ほどと同じく/アイヌラックㇰ(という)/あれほどの神は/怒りの青筋が/絡まったブドウ蔓のように/顔面に/立っていて/「悪者の子孫が/私の善意を/受け入れも/しないから/湿った国に/罰の国土に/運び/ますよ」

活用

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人称 単数形 複数形
一人称 k(u)=teyne teyne=as
二人称 e=teyne eci=teyne
三人称 teyne teyne
不定称 teyne=an teyne=an

派生語

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対義語

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  • sat (サッ)乾いた

出典

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  1. 鍋沢元蔵 (1928), Nabesawa-1 yukar (1), in 中村裕; 遠藤志保, “鍋沢元蔵筆録ノート : 翻刻と訳注”, 国立民族学博物館所蔵 鍋沢元蔵ノートの研究, 2016-06-01, doi:10.15021/00006040 
  2. 平賀さだも (1969), “7-2 ウエペケㇾ「ケソラㇷ゚ カムイ イレス」(孔雀の神に育てられた)”, 第2年次調査研究報告書1/3 (文化庁 アイヌ語の保存・継承に必要なアーカイブ化に関する調査研究事業), 2015年3月 
  3. 平目よし (1969), “19-2 ウエペケㇾ「ウッコッナイ アイヌ アネ」(好色が元で死んだ男の話[1])”, 第2年次調査研究報告書3/3 (文化庁 アイヌ語の保存・継承に必要なアーカイブ化に関する調査研究事業), 2015年3月 
  4. 鍋沢元蔵 (1954), Nabesawa-3 yukar (2), in 中村裕; 遠藤志保, “鍋沢元蔵筆録ノート : 翻刻と訳注”, 国立民族学博物館所蔵 鍋沢元蔵ノートの研究, 2016-06-01, doi:10.15021/00006040