ぬるむ【温む】
- (水などが)温まる。
- 用法:「ぬるくなる」の意であるが、「ぬるむ」は温度が上がってぬるくなる場合に多く用い、温度が下がってぬるくなる場合には「ぬるまる」を用いる。
- 細民街のぼろアパアト、黄塵白日、子らの喧噪 、バケツの水もたちまちぬるむ炎熱、そのアパアトに、気の毒なヘロインが、堪えがたい焦躁に、身も世もあらず、もだえ、のたうちまわっているのである。(太宰治 『音に就いて』)
- 暖かそうな雰囲気をかもし出す。
- 岸に近く、船宿の白い行灯をうつし、銀の葉うらを翻す柳をうつし、また水門にせかれては三味線の音のぬるむ昼すぎを、紅芙蓉の花になげきながら、気のよわい家鴨の羽にみだされて、人けのない廚の下を静かに光りながら流れるのも、その重々しい水の色に言うべからざる温情を蔵していた。(芥川龍之介 『大川の水』)
活用と結合例
各活用形の基礎的な結合例
意味 |
語形 |
結合
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否定 |
ぬるまない |
未然形 + ない
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意志・勧誘 |
ぬるもう |
未然形音便 + う
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丁寧 |
ぬるみます |
連用形 + ます
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過去・完了・状態 |
ぬるんだ |
連用形音便 + だ
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言い切り |
ぬるむ |
終止形のみ
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名詞化 |
ぬるむこと |
連体形 + こと
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仮定条件 |
ぬるめば |
仮定形 + ば
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命令 |
ぬるめ |
命令形のみ
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