侍する
日本語
編集動詞
編集侍する (じする)
- (自動詞, 文章語) 身近に居て仕える。付き従って奉仕する。
- 1916年、穂積陳重「法窓夜話 第三版」[1]
- 古今の大哲人ソクラテスが、毒杯を仰いで、従容死に就かんとした時、多数の友人門弟らは、絶えずその側に侍して、師の臨終を悲しみながらも、またその人格の偉大なるに驚嘆していた。
- 1920年、喜田貞吉「俗法師考」[2]
- 『続古事談』に、奈良に説法をよくする僧綱が賊にあった話があるが、それにはその僧のことを房主と書いてある。房は室で、坊とは違う。僧侶名宛ての文書に、何々御房とか、何某御房御中などとあるのは、今の手紙に侍者とか、侍者御中とか書くのと同じことで、寺の一室におって住持たる高僧の左右に侍する低い地位の僧侶を指したものである。
- 1938年、與謝野晶子訳、紫式部「源氏物語」[3]
- 落ちようとする月が一段明るくなった光の中を、清艶な容姿で、物思いをしながら出て行く源氏を見ては、虎も狼も泣かずにはいられないであろう。ましてこの人たちは源氏の少年時代から侍していたのであるから、言いようもなくこの別れを悲しく思ったのである。
- 1943年、江戸川乱歩「偉大なる夢」[4]
- その翌日午前十時、五十嵐老博士の逝去が発表せられた。博士夫人は同じ別荘の別室に病臥していたが、まだ高熱が去らず、歩行もむつかしい状態だったので、博士の臨終には看護婦の助けによって、辛うじて枕頭に侍することが出来たばかりであった。
- 1916年、穂積陳重「法窓夜話 第三版」[1]
活用
編集サ行変格活用 | ||||||
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語幹 | 未然形 | 連用形 | 終止形 | 連体形 | 仮定形 | 命令形 |
侍 | し せ さ |
し | する | する | すれ | せよ しろ |
意味 | 語形 | 結合 |
---|---|---|
否定 | 侍しない | 未然形 + ない |
否定 | 侍せず | 未然形 + ず |
自発・受身 可能・尊敬 |
侍される | 未然形 + れる |
丁寧 | 侍します | 連用形 + ます |
過去・完了・状態 | 侍した | 連用形 + た |
言い切り | 侍する | 終止形のみ |
名詞化 | 侍すること | 連体形 + こと |
仮定条件 | 侍すれば | 仮定形 + ば |
命令 | 侍せよ 侍しろ |
命令形のみ |
註
編集- ↑ 青空文庫、2001年8月20日公開、2014年7月25日修正(底本:「法窓夜話」岩波文庫、岩波書店、1999(平成11)年9月16日第14刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/000301/files/1872_53638.html
- ↑ 青空文庫、2013年1月22日作成(底本:「差別の根源を考える」河出書房新社、2008(平成20)年9月30日初版発行)https://www.aozora.gr.jp/cards/001344/files/54856_49955.html
- ↑ 青空文庫、2003年7月2日作成(底本:「全訳源氏物語 上巻」角川文庫、角川書店、1994(平成6)年12月20日56版発行)https://www.aozora.gr.jp/cards/000052/files/5027_11270.html
- ↑ 青空文庫、2021年9月27日作成(底本:「江戸川乱歩全集 第14巻 新宝島」光文社文庫、光文社、2004(平成16)年1月20日初版1刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/001779/files/57531_74232.html