日本語

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動詞

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する (こくする)

  1. (自動詞, 文章語) をあげて泣く慟哭する。
    • 1929年、長永義正「北洋漁業を観る : その将来はいかん 」[1]
      満鉄に乗った人は、夜半車軋の音に交って、旧鬼の哭する啾々たる声を聞くであろう。
    • 1935年、岡本綺堂「中国怪奇小説集」[2]
      東海に郭純という孝子があった。母を喪って彼は大いに哭した。その哭するごとに、鳥の群れがたくさん集まって来るのである。
  2. (他動詞, 文章語) 〔何かを〕ひどく悲しみをあげて泣く
    • 1940年、堀辰雄「伊勢物語など」[3]
      だが、ひよつとしたらこれはその不幸な若い女の死を哭し、その魂を鎭めるために近親の者がその女の心もちになつて代つて詠んだものかとも考へられる。
    • 1942年、中島敦「盈虚」[4]
      戚の城に入るのでさへ、喪服をまとひ父の死を哭しつゝ、土地の民衆の機嫌をとりながらはひらなければならぬ始末であつた。

活用

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哭-する 動詞活用表日本語の活用
サ行変格活用
語幹 未然形 連用形 終止形 連体形 仮定形 命令形


する する すれ せよ
しろ
各活用形の基礎的な結合例
意味 語形 結合
否定 哭しない 未然形 + ない
否定 哭せず 未然形 +
自発・受身
可能・尊敬
哭される 未然形 + れる
丁寧 哭します 連用形 + ます
過去・完了・状態 哭した 連用形 +
言い切り 哭する 終止形のみ
名詞化 哭すること 連体形 + こと
仮定条件 哭すれば 仮定形 +
命令 哭せよ
哭しろ
命令形のみ
  1. 神戸大学経済経営研究所 新聞記事文庫: 1929-08-21/1929-09-08 大阪毎日新聞 https://hdl.handle.net/20.500.14094/0100294993
  2. 青空文庫、2003年7月31日作成(底本:「中国怪奇小説集」光文社、1994(平成6)年4月20日第1刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/000082/files/1301_11897.html
  3. 青空文庫、2013年1月17日作成(底本:「堀辰雄作品集第五卷」筑摩書房、1982(昭和57)年9月30日初版第1刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/001030/files/47898_50026.html
  4. 青空文庫、2008年12月1日作成(底本:「中島敦全集第一卷」筑摩書房、1976(昭和51)年3月15日初版第1刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/000119/files/4336_33652.html