日本語 編集

動詞 編集

する (あっする)

  1. (他動詞) 〔何かに〕圧力加える加圧する。おさえつける
    • 1942年、中島敦「牛人」[1]
      見えるはずはないのに、天井の上を真黒な天が盤石の重さで押しつけているのが、はっきり判る。いよいよ天井が近づき、堪え難い重みが胸を圧した時、ふと横を見ると、一人の男が立っている。
    • 1949年、永井隆「長崎の鐘」[2]
      この巨大な原子力は、原子の破裂と同時に解放せられ、一挙に万物を圧する。真空中、空気中、土中、水中でその起こる現象は異なるであろう。この度は空気中で破裂した。
  2. (他動詞) 力を示して〔誰かや何かを〕圧倒する。
    • 1949年、山本周五郎「おれの女房」[3]
      信近はまだ法橋にはなっていなかったが、すでに狩野派の長老であり、御殿絵師としても東西を圧する威勢をもっていた
    • 1952年、蜷川新「私の歩んだ道」[4]
      軍隊では、傲慢で低級な下士官や上等兵に、そうとうににくまれた。あるときは、下志津原の遠いバラックに連れてゆかれ、闇打ちをくらう直前までいったこともあった。だが、私の正論に、彼らは圧せられて、たくみに私はその場を切りぬけた。

活用 編集

圧-する 動詞活用表日本語の活用
サ行変格活用
語幹 未然形 連用形 終止形 連体形 仮定形 命令形

する する すれ せよ
しろ
各活用形の基礎的な結合例
意味 語形 結合
否定 圧しない 未然形 + ない
否定 圧せず 未然形 +
自発・受身
可能・尊敬
圧せられる 未然形 + られる
丁寧 圧します 連用形 + ます
過去・完了・状態 圧した 連用形 +
言い切り 圧する 終止形のみ
名詞化 圧すること 連体形 + こと
仮定条件 圧すれば 仮定形 +
命令 圧せよ
圧しろ
命令形のみ

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  1. 青空文庫(2001年1月20日公開、2004年2月4日修正、底本:「山月記・李陵 他九篇」岩波文庫、岩波書店、1998(平成10)年12月25日第7刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/000119/files/1742_14529.html
  2. 青空文庫(2011年4月29日作成、底本:「長崎の鐘」サンパウロ、2007(平成19)年11月30日初版16刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/000924/files/50659_42787.html
  3. 青空文庫(2019年10月28日作成、底本:「山本周五郎全集第二十二巻 契りきぬ・落ち梅記」新潮社、1983(昭和58)年4月25日発行)https://www.aozora.gr.jp/cards/001869/files/57567_69557.html
  4. 青空文庫(2014年10月14日作成、底本:「天皇 誰が日本民族の主人であるか」長崎出版、1988(昭和63)年11月20日初版)https://www.aozora.gr.jp/cards/001776/files/56238_54769.html