癒 着(ゆちゃく)
- 生物の本来分離していなければならない器官が組織的にくっついてしまうこと。
- それだけの物が中にあると、右下にしたり、左下にしたりすると、その目方で胃袋が垂れ下がらねばならないのに、あなたの胃袋は、周囲の臓器との相対位置が、ちっともかわらないんです。胃の周囲にひどい癒着があるとより他に考えられませんね(中谷宇吉郎「ジストマ退治の話」)
- 皮膚がくっついて傷が治ること。
- 一箇月たって腹部の傷口だけは癒着した。(太宰治「東京八景(苦難の或人に贈る)」)
- 密接に結びついていること。
- しかしこういう嫌疑が湧き上がって来はしませんか――その男の獄内の体験よりは、入獄するに至った事情のほうが、さらに密接に、その男の芸術生活の根源と癒着しているのかもしれないという嫌疑が。(トオマス・マン、実吉捷郎訳「トニオ・クレエゲル」)
- 利権などを軸に不正に結びついていること。
活用と結合例
各活用形の基礎的な結合例
意味 |
語形 |
結合
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否定 |
癒着しない |
未然形 + ない
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否定(古風) |
癒着せず |
未然形 + ず
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自発・受身 可能・尊敬 |
癒着される |
未然形 + れる
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丁寧 |
癒着します |
連用形 + ます
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過去・完了・状態 |
癒着した |
連用形 + た
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言い切り |
癒着する |
終止形のみ
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名詞化 |
癒着すること |
連体形 + こと
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仮定条件 |
癒着すれば |
仮定形 + ば
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命令 |
癒着しろ 癒着せよ |
命令形のみ
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