節する
日本語
編集動詞
編集節する (せっする)
- (他動詞, 文章語) 控える。節減する。〔何かの〕利用や消費を減らす。
- 1894年、内村鑑三「後世への最大遺物」[1]
- しかしながらその教会の建った歴史を聞いたときに、その歴史がこういう歴史であったと仮定めてごらんなさい……この教会を建てた人はまことに貧乏人であった、この教会を建てた人は学問も別にない人であった、それだけれどもこの人は己のすべての浪費を節して、すべての欲情を去って、まるで己の力だけにたよって、この教会を造ったものである。
- 1933年、豊島与志雄「条件反射」[2]
- 彼は嘆じて云う。「煙草を節するには、朝から晩まで立続けに講義をするか、或は書斎を教室に改造するかより、他に方法はない。」
- 1949年、山本周五郎「陽気な客」[3]
- 「月給だって減らしてもいいんです。酒を節することは断じて約束します、なんだったら禁酒しようかと思っていました、じっさいこれでは自分ながらあいそがつきますから」
- 1952年、相馬愛蔵「私の小売商道」[4]
- お得意を廻って、三軒に一つ、五軒に一つの御用を頂戴するだけでは、一日せいぜい三十軒、五六円の商売にしかならない。これに一日の労賃は二円くらいにつくことになるから、どうしても二三割高く売らねばならぬ。労力を節して居ながら安く売って、それに品物も豊富な百貨店や公設市場に顧客を奪われるのも当然ではあるまいか。
- 1894年、内村鑑三「後世への最大遺物」[1]
活用
編集サ行変格活用 | ||||||
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語幹 | 未然形 | 連用形 | 終止形 | 連体形 | 仮定形 | 命令形 |
節 | し せ さ |
し | する | する | すれ | せよ しろ |
意味 | 語形 | 結合 |
---|---|---|
否定 | 節しない | 未然形 + ない |
否定 | 節せず | 未然形 + ず |
自発・受身 可能・尊敬 |
節される | 未然形 + れる |
丁寧 | 節します | 連用形 + ます |
過去・完了・状態 | 節した | 連用形 + た |
言い切り | 節する | 終止形のみ |
名詞化 | 節すること | 連体形 + こと |
仮定条件 | 節すれば | 仮定形 + ば |
命令 | 節せよ 節しろ |
命令形のみ |
註
編集- ↑ 青空文庫、1999年12月31日公開、2011年6月10日修正(底本:「後世への最大遺物 デンマルク国の話」岩波文庫、岩波書店、1994(平成6)年8月6日第64刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/000034/files/519_43561.html
- ↑ 青空文庫、2006年4月22日作成(底本:「豊島与志雄著作集 第六巻(随筆・評論・他)」未来社、1967(昭和42)年11月10日第1刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/000906/files/42511_22706.html
- ↑ 青空文庫、2020年2月21日作成(底本:「山本周五郎全集第二十二巻 契りきぬ・落ち梅記」新潮社、1983(昭和58)年4月25日発行)https://www.aozora.gr.jp/cards/001869/files/57784_70489.html
- ↑ 青空文庫、2004年12月11日作成、2011年4月4日修正(底本:「相馬愛蔵・黒光著作集4」郷土出版社、1981(昭和56)年6月5日初版発行)https://www.aozora.gr.jp/cards/001147/files/43527_17334.html