日本語

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発音

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動詞

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する (かいする)

  1. (他動詞) 理解する。分かる
    • 1933年、中島敦「鏡花氏の文章」[1]
      にもかかわらず、私がここで大威張りで言いたいのは、日本人に生れながら、あるいは日本語を解しながら、鏡花の作品を読まないのは、折角の日本人たる特権を抛棄しているようなものだ。
    • 1934年、木暮理太郎「思い出す儘に」[2]
      森林に対して無頓着というよりは、其美しさを解しなかった私は、後年嘆賞して措かない梓山の戦場ヶ原も、唯落葉松の大木と白樺(しらはりの木と教えられた)とが立ち並んでいる間に、子を連れた五、六頭の馬が放牧されていたことを覚えているに過ぎない。
    • 1939年、太宰治「デカダン抗議」[3]
      今夜は、この宿へ泊って行きなさい、ゆっくり話しましょう、と私ひとりは、何かと興奮しているのだが、女は一向に、このロマンチシズムを解しない。あたしは、よごれているから、と女は、泊ることを断った。
  2. (他動詞) 解釈する。特定の形で理解する。受け止める
    • 1925年、平林初之輔「ブリユンチエールの言葉について」[4]
      探偵小説を広義に解するならば、実社会において比較的稀にしか起こらぬ出来事を取り扱った小説であると言えましょう。
    • 1928年、萩原朔太郎「常識家の非常識」[5]
      他のことはとにかく、あれが友人を陷入れるための、女らしい邪智の惡意で書いたものと解されては、僕として到底がまんできない。
    • 1958年、柳宗悦「改めて民藝について」[6]
      もともと民藝の「民」は誰も感づくように、「民衆」の「民」や「平民」の「民」である。しかし「民」という言葉の内容を特別なものに解してはいけない。もっとも当り前な内容に受取ってよい。

活用

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関連語

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  1. 青空文庫(2003年7月6日作成。底本:「中島敦全集 3」ちくま文庫、筑摩書房、2003(平成15)年3月20日第5刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/000119/files/24441_11320.html
  2. 青空文庫(2015年5月4日作成。底本:「山の憶い出 下」平凡社ライブラリー、平凡社、1999(平成11)年7月15日初版第1刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/001373/files/56543_56780.html
  3. 青空文庫(1999年10月26日公開、2004年3月4日修正。底本:「太宰治全集3」ちくま文庫、筑摩書房、1988(昭和63)年10月25日第1刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/000035/files/254_15075.html
  4. 青空文庫(2010年10月28日作成、2010年12月15日修正。底本:「平林初之輔探偵小説選Ⅱ〔論創ミステリ叢書2〕」論創社、2003(平成15)年11月10日初版第1刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/000221/files/48092_41351.html
  5. 青空文庫(2021年10月27日作成。底本:「萩原朔太郎全集 第八卷」筑摩書房、1976(昭和51)年7月25日初版)https://www.aozora.gr.jp/cards/000067/files/59980_74402.html
  6. 青空文庫(2014年2月14日作成、2010年12月15日修正。底本:「民藝四十年」岩波文庫、岩波書店、2011(平成23)年3月4日第29刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/001520/files/56522_53053.html