古典日本語「いかにも」 < 「いかに」 + 係助詞「も」
- (東京式) いかにも [ìkáꜜnìmò] (中高型 – [2])
- IPA(?): [ika̠ɲ̟imo̞]
いかにも【如何にも】
- 程度がはなはだしい様。実に。本当に。全く。
- 樹木に対して目をふさぐような気持ちで冬を過ごしてしまうと、やがて濠ばたの柳などが芽をふいてくる。いかにも美しい。やっぱり新緑は東京でも美しいんだなと思う。(和辻哲郎 『京の四季』)
- 親の敵を討てなかったのは、いかにも残念至極だが、人の罪まで背負って名乗って出るわけに行かない。(野村胡堂 『銭形平次捕物控 敵討果てて』)
- 見えたり感じられたりする様を強調する。推量や様態、比喩の明確化。まさしく、みるからに(そのようだ)。
- 私の生れた新潟では寸をつめて名前をよぶ癖があって、ヘイゴをヘゴとよぶ。敬称のサンを略して「ヘゴサ」とよぶのである。音がよくない。いかにも臭そうだ。それに新潟では弱虫をヘゴタレと呼ぶから益々よくない。(中略)近所の魚屋に「マゴサ」とよばれてる店があったが、私とはヘとマのちがいで音全体としてもいかにも人に笑われそうな名であるから、子供心に大そう親近感をいだいていたのを忘れない。(坂口安吾 『ヒノエウマの話』)
- 聖ヨハネ(キングス)教会の墓地はいかにもな感じです。(H. P. ラヴクラフト、The Creative CAT訳『チャールズ・デクスター・ウォードの事件』の後注「建築・地名」)
- 他者の主張に同意する意を表す。なるほど。確かに。そのとおり。
- 「その声は、我が友、李徴子ではないか?」(中略)ややあって、低い声が答えた。「如何にも自分は隴西の李徴である」と。(中島敦 『山月記』)
- 亭主が、「それでは貴方様がッ」ナンダと団九郎。亭主が、「あの有名な二刀流の先生」「如何にも」と団九郎、威張ったものだ。(山中貞雄 『武蔵旅日記』)
- 手紙のおもむき、いかにも承知。(久生十蘭 『顎十郎捕物帳 菊香水』)