さかえる【栄える】
- (自動詞) 〔主語の〕活動が盛んになり、勢力が増す。
- 1936年、楠山正雄「神田界隈」[1]
- 町の地形が変るより以上に住む人も変ったが、でも長い年月の試練にのこって今も栄えている店は、さすがにどこも大きく変った。
- 1946年、和辻哲郎「古寺巡礼 改版」[2]
- 東洋の風呂の伝統が、シナやインドでどうなっているかは知らないが、とにかく日本では栄えている。もちろん日本の風呂の趣味も最初はシナから教わったもので、それまでは川へ行って水浴をやっていたに相違あるまい。
- 1946年、豊島与志雄「乾杯」[3]
- 山の幸、野の幸、海の幸と言えば大袈裟ですが、街頭に栄えた闇市場で普通に手に入る材料の、普通の料理でありました。
- (自動詞) 〔会話やある話題が〕盛り上がる。弾む。
- 1909年、森鴎外「ヰタ・セクスアリス」[4]
- 僕は蕎麦掻の注文をしてしまって、児島の橘飩にも譲らないと思って、ひとりで可笑がった。暫くは蕎麦の話が栄える。主人も蕎麦掻は食べる。
- 1947-48年、海野十三「地獄の使者」[5]
- さて、旗田邸に集まる検察官と帆村探偵のところへ鑑識課から右の指紋報告の電話が来て、ひとしきり討論が栄えたあとで、長谷戸検事は、帆村が引続いて取調べを進行させる意志があるなら、暫く君に委かせておいていいといったので、帆村は肯いて、自ら取調べ続行をする旨表明した。
活用と結合例
各活用形の基礎的な結合例
意味 | 語形 | 結合 |
否定 | さかえない | 未然形 + ない |
意志・勧誘 | さかえよう | 未然形 + よう |
丁寧 | さかえます | 連用形 + ます |
過去・完了・状態 | さかえた | 連用形 + た |
言い切り | さかえる | 終止形のみ |
名詞化 | さかえること | 連体形 + こと |
仮定条件 | さかえれば | 仮定形 + ば |
命令 | さかえろ さかえよ | 命令形のみ |