たこつぼ
日本語
編集名詞
編集たこつぼ【蛸壺】
- タコ漁のための漁具。穴に潜む習性を持つタコを獲るために海底に沈める素焼きの壺。または、それを用いた漁業。夏の季語。
- 浅口郡に大原窯があって、釉のない瓦焼で、土瓶とか焙烙とか土鍋とか蛸壺とかを作ります。――柳宗悦 (1943年). “図書カード:手仕事の日本”. 青空文庫. 2023年5月23日閲覧。
- 「蛸壺やはかなき夢を夏の月」という芭蕉の句は、私の一番好きな句の一つである。――中谷宇吉郎 (1946年). “図書カード:八月三日の夢”. 青空文庫. 2023年5月23日閲覧。
- 人一人が入ることができる程度の大きさの塹壕。蛸壺壕。
- 私は防空壕には困らなかつた。始めコンクリートの池を改造して防空壕をつくつたが、そのうちドラム缶をもらひ、蛸壺壕をつくつた。――坂口安吾 (1947年). “図書カード:わが戦争に対処せる工夫の数々”. 青空文庫. 2023年5月23日閲覧。
- 北口を扼する一箇大隊の将兵は、昼間は個々の蛸壺に身をひそめ、身体をかがめて自らの口を充たすべき籾を搗き、夜に入れば初めて地上に出て戦った。――梅崎春生 (1947年). “図書カード:日の果て”. 青空文庫. 2023年5月23日閲覧。
- 自分一人や少数の仲間内で狭い世界に閉じこもり、外部に目を向けず、外部の影響や反応を気に留めないことのたとえ。
- 現代文学の方法が、そのようなタコ壺にはまったとき、われわれの心には五年間の寛容について、責任をかえりみるこころもちがわいて来ている。――宮本百合子 (1950年). “図書カード:心に疼く欲求がある”. 青空文庫. 2023年5月23日閲覧。
- 『パソコン創世記』というたこつぼからようやく抜け出した私は、この年の春頃からボイジャーサロンを覗くようになります。――富田倫生 (1997年). “図書カード:本の未来”. 青空文庫. 2023年5月23日閲覧。