古典日本語「はかなし」 < 「はか」(果) + 「なし」(無し)
- (東京式) はかない [hàkánáꜜì] (中高型 – [3])
- IPA(?): [ha̠ka̠na̠i]
- (京阪式) はかない
はかない【儚い、果 敢ない】
- 長く続かない。もろく、かぼそい。
- 毎夜、毎夜、傑作の幻影が彼のうすつぺらな胸を騷がせては呉れるのであつたが、書かうとすれば、みんなはかなく消えうせた。(太宰治 『猿面冠者』)
- かないそうにない。不確かな。
- むなしい、無意味な、徒労の。
- 凡そ何がはかないと云っても、浮世の人の胸の奥底に潜んだまま長い長い年月を重ねて終にその人の冷たい亡骸と共に葬られてしまって、かつて光にふれずに消えてしまう希望程はかないものがあろうか。(寺田寅彦 『凩』)
活用と結合例
各活用形の基礎的な結合例
意味 |
語形 |
結合
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推量・意志 |
はかなかろう |
未然形 + う
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否定形 |
はかなくない |
連用形 + ない
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過去・完了 |
はかなかった |
連用形 + た
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言い切り |
はかない |
終止形のみ
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名詞化 |
はかないこと |
連体形 + こと
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仮定条件 |
はかなければ |
仮定形 + ば
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様態 |
はかなそうだ |
語幹 + そうだ
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