やらかす【遣らかす】
- (俗語) する。
- いや、結構々々、こんなところで親爺と娘が婚礼の前祝ひをやらかしてゐるだな!(ニコライ・ゴーゴリ「ディカーニカ近郷夜話」)〔平井肇訳1937年〕[1]
- 「へ、こいつはお生憎様だ。棹がちっとばかり届かねえ。よしそれでは投げ棹とやらかせ」(国枝史郎「神州纐纈城」)〔1925年〕[2]
- 「やあ、日が暮れるといけねえ、歩き出そう、歩き話とやらかそう」(中里介山「大菩薩峠」)〔1913-1941年〕[3]
- (俗語) (望まれないことやするべきでないことを)する。してしまう。
- 祖母が悲鳴をあげたので、兄が飛んできて、兄と僕は掴み合いをしました。果は近所の人達が出てきて僕達を止めました。実はそんなに珍しいことでもないのです。僕は時々やらかすのです。(小山清「わが師への書」)〔1948年〕[4]
- ここでドンチャン騒ぎのお祈りを日夜にわたつてやらかすので、家主に立退きをせまられ、神様は警察へ留置された。(坂口安吾「勝負師」)〔1949年〕[5]
- ひどい悪い事を、次々とやらかすので、ついには北さんのお宅の二階に押し込められて、しばらく居候のような生活をせざるを得なくなった事さえあった。(太宰治「帰去来」)〔1942年〕[6]
- (俗語) 飲み食いする。
- せめて熱い湯漬を一杯やらかすうち待って下さい、八五郎にも振舞ってやります。(野村胡堂「銭形平次捕物控」)〔1950年〕[7]
- かれは伯父さんを思いだした、伯父さんはいつも口ぐせにこういった。「まぐろの刺身で一杯やらかしたいもんだなあ」(佐藤紅緑「ああ玉杯に花うけて」)〔1927年〕[8]
- 『徳さん、腹が減ったか。』『減った。』『弁当をやらかそうか。』 そこで叔父さんは弁当を出して二人ふたり、草の上に足を投げだして食いはじめた。(国木田独歩「鹿狩り」)〔1898年〕[9]
活用と結合例
各活用形の基礎的な結合例
意味 | 語形 | 結合 |
否定 | やらかさない | 未然形 + ない |
意志・勧誘 | やらかそう | 未然形音便 + う |
丁寧 | やらかします | 連用形 + ます |
過去・完了・状態 | やらかした | 連用形音便 + た |
言い切り | やらかす | 終止形のみ |
名詞化 | やらかすこと | 連体形 + こと |
仮定条件 | やらかせば | 仮定形 + ば |
命令 | やらかせ | 命令形のみ |