愛執(あいしゅう)
- (もとは仏教語)あるものを、いつくしんで執着すること。悟りの妨げとされる。
- もとの夫婦の道へお帰りになって、一方が作る愛執の念を晴らさせておあげになり、なお一日の出家の功徳は無量とされているのですから、もとに帰られたあとも御仏をおたよりになされるがよろしいと私は申し上げます。(紫式部 與謝野晶子訳 『源氏物語 夢の浮橋』)
- 健三はもう少しで御常の話を島田にするところであった。しかし過去に無感覚な表情しか有たない島田の顔は、何事も覚えていないように鈍かった。昔の憎悪、古い愛執、そんなものは当時の金と共に彼の心から消え失せてしまったとしか思われなかった。(夏目漱石 『道草』)
活用と結合例
各活用形の基礎的な結合例
意味 |
語形 |
結合
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否定 |
愛執しない |
未然形 + ない
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否定(古風) |
愛執せず |
未然形 + ず
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自発・受身 可能・尊敬 |
愛執される |
未然形 + れる
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丁寧 |
愛執します |
連用形 + ます
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過去・完了・状態 |
愛執した |
連用形 + た
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言い切り |
愛執する |
終止形のみ
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名詞化 |
愛執すること |
連体形 + こと
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仮定条件 |
愛執すれば |
仮定形 + ば
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命令 |
愛執しろ 愛執せよ |
命令形のみ
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