準じる
日本語
編集動詞
編集準じる (じゅんじる)
- (自動詞) (「~に準じる」の形で)~を基準、規範として、それに適合、調和する。準拠する。則する。則る。
- 1934年、中原中也「よもやまの話」[1]
- 現今ジャナリズムは、詩稿に対して此の屑屋に似てゐる。小説の稿料に準じて、詩の稿料を定めるのである。これも、詩が十分に発展しない遠き原因の一つである。
- 1949年、渡部義通、第5回国会衆議院[2]
- 從つて、もし日本の教育がポツダム宣言及び憲法に準じて行われるとするならば、これは民主主義的な教育が徹底的に行われなければならぬ。
- 1968年、田原春次、第58回国会衆議院[3]
- しかるに、いつの間にかうやむやになってしまって、今日まで移住に対する基本政策が法律的にははっきりしておりません。したがって、明治四十年ごろにできた内務省の系統に属する移民取締規則に準じていまやっておる状態であります。
- 1934年、中原中也「よもやまの話」[1]
- (他動詞, まれ) (「~を準じる」の形で)~を基準、規範として、それに適合、調和する。~に準拠する。~に則する。~に則る。
- 1964年、加瀬完、第46回国会[4]
- それは、何も特定の団体の代表だけで評議員会を構成しろということを言っておるわけではございませんで、先ほども指摘いたしましたように、共済組合の運営委員会のようなものを準じて、各方面からそれぞれの代表を評議員会の中に入れるという原則というものをお認めいただきたいと思うわけです。
- 1974年、小澤文雄、第72回国会参議院[5]
- 第二は、公害紛争についての裁定でございますが、これには、責任裁定と原因裁定の二種類がありまして、ともに訴訟手続を準じた手続によって紛争を処理することとなっております。
- 2022年、九州農政局「令和4年度 国有農地測量・境界確定促進委託事業(福岡県) 仕様書」[6]
- 立会通知の手続は、第 16 条の規定を準じて行うものとし、立会通知書(参考様式第 11号)は立会期日の少なくとも 10 日前までに、隣接地所有者に到達するようにしなければならない。
- 1964年、加瀬完、第46回国会[4]
- (自動詞) 応じる。相関する。
- 1931年、戸坂潤「啓蒙の現代的意味と役割とについて」
- 日本には多数の教育者がいる。それに準じてその悪種であるポプュラライザーやお説教屋も多い。彼等はどれも国家機構の壁に這う処のつたのようなものだ。
- 1935年、岡本綺堂「明治劇談 ランプの下にて」
- その頃の芝居がなぜ儲からなかったかというと、その原因は実に簡単明瞭で、所詮は芝居を観る人の範囲が狭く、それに準じて観客が少なかったためである。
- 1941年、宮本百合子「国民学校への過程」[7]
- 八年制はつまり現在の高等二年修了と同じになるのだろうから、日本の民衆の一般の智能の水準は、それに準じて向上されるという期待が持たれていいのだろう。
- 1948-1949年、吉川英治「大岡越前」
- 犬は仔を産むし、多産だし、しかも十数年来、太鼓の製皮も禁ぜられてきた程なので、その繁殖率は、たいへんなものになっている。世上の違犯数も、当然、それに準じて増すばかりなので、さすがの幕府も、犬目付も、法の厳励を期すには、いまや悲鳴をあげないでいられない。
- 1931年、戸坂潤「啓蒙の現代的意味と役割とについて」
- (自動詞) (「~に準じる」の形で)~と同種と見なして扱えるほど性質が近い。
- 1915年、夏目漱石「道草」[8]
- 動物のうちには子を生むために生きているのか、死ぬために子を生むのか解らないものがいくらでもある。人間も緩漫ながらそれに準じた法則にやッぱり支配されている。
- 1933-1937年、戸坂潤「社会時評」[9]
- 併し凡そ官立大学(帝大を含めて)や之に準じる公私立大学一般の、学術の優等振りと品行の方正振りとを、即ち大学の科学振りを、吾々は大体に於て知らないのではない。
- 1976年、立木洋、第77回国会参議院[10]
- 昨日の夕刊、けさの新聞でもいろいろ書かれておりますけれども、この協議をしていく結果として、何らかの協定あるいは協定に準じる合意書みたいなものが作成される見通しなのかどうなのか、その点はどうでしょう。
- 1915年、夏目漱石「道草」[8]
活用
編集ザ行上一段活用 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|
語幹 | 未然形 | 連用形 | 終止形 | 連体形 | 仮定形 | 命令形 |
準 | じ | じ | じる | じる | じれ | じよ じろ |
意味 | 語形 | 結合 |
---|---|---|
否定 | 準じない | 未然形 + ない |
意志・勧誘 | 準じよう | 未然形 + よう |
丁寧 | 準じます | 連用形 + ます |
過去・完了・状態 | 準じた | 連用形 + た |
言い切り | 準じる | 終止形のみ |
名詞化 | 準じること | 連体形 + こと |
仮定条件 | 準じれば | 仮定形 + ば |
命令 | 準じよ 準じろ |
命令形のみ |
関連語
編集- 準ずる(サ変形)
註
編集- ↑ 青空文庫、2010年10月16日作成(底本:「新編中原中也全集 第四巻 評論・小説」角川書店、2003(平成15)年11月25日初版発行)https://www.aozora.gr.jp/cards/000026/files/50257_41266.html
- ↑ 「第5回国会 衆議院 文部委員会 第24号 昭和24年5月21日」国会会議録検索システム https://kokkai.ndl.go.jp/txt/100505115X02419490521/63 2023年1月28日参照
- ↑ 「第58回国会 衆議院 外務委員会 第25号 昭和43年5月24日」国会会議録検索システム https://kokkai.ndl.go.jp/txt/105803968X02519680524/24 2023年1月28日参照
- ↑ 「第46回国会 参議院 文教委員会 第29号 昭和39年5月26日」国会会議録検索システム https://kokkai.ndl.go.jp/txt/104615077X02919640526/20 2023年1月28日参照
- ↑ 「第72回国会 参議院 公害対策及び環境保全特別委員会 第3号 昭和49年2月14日」国会会議録検索システム https://kokkai.ndl.go.jp/txt/107214205X00319740214/15 2023年1月28日参照
- ↑ 『令和4年度 国有農地測量・境界確定促進委託事業(福岡県) 仕様書』(九州農政局ホームページ) https://www.maff.go.jp/kyusyu/hachu/attach/pdf/gyoumu-6.pdf 政府標準利用規約(第2.0版)公開 2023年1月27日参照。
- ↑ 青空文庫、2003年5月26日作成(底本:「宮本百合子全集 第十四巻」新日本出版社、1986(昭和61)年3月20日第5刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/000311/files/3190_10863.html
- ↑ 青空文庫、1999年1月22日公開、2013年3月4日修正(底本:「道草」岩波文庫、岩波書店、1995(平成7)年2月15日第49刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/000148/files/783_14967.html
- ↑ 青空文庫、2009年5月9日作成(底本:「戸坂潤全集 別巻」勁草書房、1979(昭和54)年11月20日第1刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/000281/files/3603_35152.html
- ↑ 「第77回国会 参議院 外務委員会 閉会後第1号 昭和51年7月9日」国会会議録検索システム https://kokkai.ndl.go.jp/txt/107713968X00119760709/117 2023年1月28日参照