日本語

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動詞

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する (ぜっする)

  1. (他動詞, 文章語) 絶つ無くす
    • 1909年、内田魯庵「二葉亭四迷の一生」[1]
      二葉亭は『浮雲』以後全く韜晦してこの文壇の気運を白眼冷視し、一時莫逆を結んだ逍遥とも音信を絶していたが、丁度その頃より少し以前、逍遥と二葉亭とは偶然私の家で邂逅して久闊を叙し、それから再び往来するようになっていた。
    • 1911年、小島烏水「高山の雪」[2]
      近頃では展覧会などで見る「高嶺の雪」などいう日本画には、空気を絶したような峻急な高嶺に、綿帽子のように、むやみに雪を盛り上げたのがあるけれども、あれは誤りである。
    • 1920年、宮本百合子「概念と心其もの」[3]
      面倒に成って来た人及び我を見るとひとりでに彼女は怖気付く。決して、今日根を絶してはいない「自分は女だ」と云う自意識が心を掠めた瞬間に、もう云うに云われない妥協が自分に向って付けられてしまう。
  2. (自動詞, 他動詞) (「~絶する」または「~絶する」の形で)~を超える。~で扱えない
    • 1930年、海野十三「階段」[4]
      僕は茫然と女史の、あられもない屍体の前に立ちつくした。僕はいまだにその妖艶とも怪奇とも形容に絶する光景を忘れたことがない。
    • 1949年、永井隆「長崎の鐘」[5]
      爆圧は言語に絶する強大なもので、爆弾に対して露出していた者、すなわち、戸外、屋上、窓辺などにいた者は叩きつけられ、吹き飛ばされた。
    • 1952年、中谷宇吉郎「異魚」[6]
      しかしそういう異例的な話でなく、アフリカ奥地の川に現在棲んでいる魚の中にも、ちょっとわれわれの想像を絶する奇妙な魚がいる。
    • 1964年、山川方夫「煙突」[7]
      ぼくは、ぼくの理解を絶する彼の家の「方針」を思い出した。きっとそれなりの理由があるのと同じように、いくらぼくにわけがわからなくても、彼には彼の理由があるだろう。

活用

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絶-する 動詞活用表日本語の活用
サ行変格活用
語幹 未然形 連用形 終止形 連体形 仮定形 命令形

する する すれ せよ
しろ
各活用形の基礎的な結合例
意味 語形 結合
否定 絶しない 未然形 + ない
否定 絶せず 未然形 +
自発・受身
可能・尊敬
絶せられる 未然形 + られる
丁寧 絶します 連用形 + ます
過去・完了・状態 絶した 連用形 +
言い切り 絶する 終止形のみ
名詞化 絶すること 連体形 + こと
仮定条件 絶すれば 仮定形 +
命令 絶せよ
絶しろ
命令形のみ
  1. 青空文庫(2011年5月29日作成。底本:「新編 思い出す人々」岩波文庫、岩波書店、2008(平成20)年7月10日第3刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/000165/files/49573_43499.html
  2. 青空文庫(1999年11月25日公開、2005年12月10日修正。底本:「山岳紀行文集 日本アルプス」岩波文庫、岩波書店、1994(平成6)年5月16日第5刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/000027/files/523_20730.html
  3. 青空文庫(2003年5月26日作成。底本:「宮本百合子全集 第十四巻」新日本出版社、1986(昭和61)年3月20日第5刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/000311/files/3067_10617.html
  4. 青空文庫(2007年8月29日作成。底本:「海野十三全集 第1巻 遺言状放送」三一書房、1990(平成2)年10月15日第1版第1刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/000160/files/1224_28148.html
  5. 青空文庫(2011年4月29日作成。底本:「長崎の鐘」サンパウロ、2007(平成19)年11月30日初版16刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/000924/files/50659_42787.html
  6. 青空文庫(2018年8月28日作成。底本:「中谷宇吉郎集 第七巻」岩波書店、2001(平成13)年4月5日第1刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/001569/files/57260_65745.html
  7. 青空文庫(2022年3月27日作成。底本:「夏の葬列」集英社文庫、集英社、1991(平成3)年11月15日第3刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/001801/files/59530_75295.html