要する (ようする)
- (他動詞) 必要とする。
- 1953年、坂口安吾「梟雄」[1]
- けれども、当時の鉄砲は最初の一発しか使いものにならなかった。タマごめや火をうつすのに技術を要しまた時間を要するから、二発目の発射までに敵に踏みこまれてしまう。
- 1994年、富田倫生「パソコン創世記」[2]
- それまでのキャッシュレジスターは機械仕掛けでガチャガチャ金額を打ち込んでいくのにかなりの力を要し、腱鞘炎はキャッシャーたちの職業病ともなっていた。
- (他動詞, 古用法) 待ち伏せる。
- 1921年、大杉栄「自叙伝」[3]
- ある日僕は玉子さんを道に要して通せんぼをした。彼女は何にも言わずに、ただ頬を脹らして、じっと僕をにらめていた。
- 1939年、国枝史郎「血曼陀羅紙帳武士」[4]
- しかるに左衛門には、左門という忰があって、「父上を自害させたのは忠右衛門である」と云い、遊学先の江戸から馳せ帰り、一夜、忠右衛門を往来に要して討ち取り、行衛を眩ました。
- (他動詞) 要約する。
- 1886年、徳富蘇峰「将来の日本」[5]
- これを要すれば封建社会においては、上、征夷大将軍より、下、庄屋に至るまで、みな一様に上に向かっては無限の奴隷にして下に向かってはみな無限の主人なり。
- 1897年、大隈重信「国民教育の複本位」[6]
- これを要しまするに、家庭経済は国家経済の基礎で、家庭教育は国民教育の根本である。
各活用形の基礎的な結合例
意味 | 語形 | 結合 |
否定 |
要しない |
未然形 + ない |
否定 |
要せず |
未然形 + ず |
自発・受身 可能・尊敬 |
要される |
未然形 + れる |
丁寧 |
要します |
連用形 + ます |
過去・完了・状態 |
要した |
連用形 + た |
言い切り |
要する |
終止形のみ |
名詞化 |
要すること |
連体形 + こと |
仮定条件 |
要すれば |
仮定形 + ば |
命令 |
要せよ 要しろ |
命令形のみ |