日本語 編集

名詞 編集

ようやく

  1. 文章要点短く纏めること。または、そのようにまとめられたもの。
    • 1949年、宮本百合子「その柵は必要か」[1]
      『文学サークル』第九号に、『勤労者文学』の発展をめざして行われた徳永直と小田切秀雄の討論の要約がのせられている。アンケート用として整理されたものである。
    • 1997年、富田倫生「短く語る『本の未来』」[2]
      世界のどこかに詳しい解説があるのなら、この機能で、読者をそっちに導けばよい。本人の直接証言や一次資料が公開されているのなら、要約や引用は避けてリンクする。
  2. (古用法) 条件
    • 1911年、森鴎外「雁」[3]
      「お玉とはどうして相識になって、どんな場合にそれを聞いたか」と問うかも知れない。しかしこれに対する答も、前に云った通り、物語の範囲外にある。只僕にお玉の情人になる要約の備わっていぬことは論を須たぬから、読者は無用の臆測をせぬが好い。
    • 1952年、平林初之輔「探偵小説壇の諸傾向」[4]
      この点で、日本の探偵小説は、ほとんど最近にようやく勃興の機運を示してきたにもかかわらず、かなりフェーヴォラブル〔好意的〕な要約の下に生ぶ声を上げたものと言うべきであろう。

類義語 編集

翻訳 編集

動詞 編集

-するようやく-する)

  1. (他動詞) 文章要点短く纏める
    • 1946年、織田作之助「夜の構図」[5]
      僕等は小説を読むと、すぐその筋だとかテエーマーだとか思想だとかを、要約したがりますね。ひどいのになると、この小説は何主義だろうかと、きめる事を先決問題にする莫迦が居るよ。
    • 1952年、佐藤春夫「永井荷風」[6]
      先生に関しては約半世紀の追想があり、既に蕪稿も千枚近く書いて来た。その結論をここに今二枚に要約するのは相当にむつかしい。

活用 編集

翻訳 編集


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  1. 青空文庫(2003年4月23日作成)(底本:「宮本百合子全集 第十三巻」新日本出版社、1986年3月20日第5刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/000311/files/3004_10125.html
  2. 青空文庫(11997年12月6日公開、2013年8月14日修正、CC BY 2.1 JP公開)(底本:「讀賣新聞大阪本社版夕刊」1997(平成9)年6月10日~23日)https://www.aozora.gr.jp/cards/000055/files/550_51255.html
  3. 青空文庫(2005年10月17日作成、2014年7月28日修正)(底本:「雁」新潮文庫、新潮社、 1988年8月15日82刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/000129/files/45224_19919.html
  4. 青空文庫(2017年11月24日作成)(底本:「定本 佐藤春夫全集 第24巻」臨川書店、2000年2月10日初版)https://www.aozora.gr.jp/cards/001763/files/58569_63327.html
  5. 青空文庫(2013年9月28日作成)(底本:「定本織田作之助全集 第六巻」文泉堂出版、1976年4月25日)https://www.aozora.gr.jp/cards/000040/files/47289_51221.html
  6. 青空文庫(2017年11月24日作成)(底本:「定本 佐藤春夫全集 第24巻」臨川書店、2000年2月10日初版)https://www.aozora.gr.jp/cards/001763/files/58569_63327.html