日本語 編集

動詞 編集

じる (こうじる)

  1. (自動詞) 人の気持ち興味強くなる。
    • 1925年、寺田寅彦「路傍の草」[1]
      いろいろな「奇蹟」たとえば千里眼透視術などをやる人でも、影にかくれた助手の存在を忘れて、ほんとうに自分が奇蹟を行なっているような気のする瞬間があリ、それが高じると、自分ひとりでもそれができるような気になる瞬間もありうるものらしい。
    • 1931年、海野十三「ネオン横丁殺人事件」[2]
      猟奇趣味が高じて道楽に素人探偵をやっているという変り種の青年理学士、帆村荘六君も、丁度この戸外組の一人だった。
    • 1934年、江戸川乱歩「黒蜥蜴」[3]
      明智の解しがたい態度に、岩瀬氏の怒りがますます高じて行くのは無理もないことであった。
  2. (自動詞) 物事が進行発展する。
    • 1908年、夏目漱石「三四郎」[4]
      ところがこの爛漫が度を越すと、露悪家同志がお互いに不便を感じてくる。その不便がだんだん高じて極端に達した時利他主義がまた復活する。
    • 1929年、新渡戸稲造「自警録」[5]
      実際かの大会においても、拳骨の撲り合いが会場の戸口で二、三度あったというし、またボストンの公園地における会合も、僕の去ったのちで巡査が来て解散したかも知れない。あるいは議論が次第に高じて来て、罵詈讒謗に終ったかも知れない。
    • 1950年、佐々木邦「合縁奇縁」[6]
      終戦になって帰って来て見たら、尾崎君は戦死していた。黒須君は胸の病気が高じて、これももうこの世の人でなかった。

活用 編集

類義語 編集

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  1. 青空文庫(2003年6月25日作成)(底本:「寺田寅彦随筆集 第二巻」小宮豊隆編、岩波文庫、岩波書店、1997(平成9)年5月6日第70刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/000042/files/2454_11113.html
  2. 青空文庫(2005年6月25日作成)(底本:「海野十三全集 第1巻 遺言状放送」三一書房 、1990(平成2)年10月15日第1版第1刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/000160/files/1236_18847.html
  3. 青空文庫(2016年9月21日作成)(底本:「黒蜥蜴」江戸川乱歩推理文庫、講談社、1987(昭和62)年9月25日第1刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/001779/files/57405_60036.html
  4. 青空文庫(2000年7月1日公開、2014年6月19日修正)(底本:「三四郎」角川文庫クラシックス、角川書店、1997(平成9)年6月10日127刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/000148/files/794_14946.html
  5. 青空文庫(2010年7月4日作成、2011年4月12日修正)(底本:「自警録――心のもちかた」講談社学術文庫、講談社、2002(平成14)年8月20日第31刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/000718/files/43675_39655.html
  6. 青空文庫(2020年11月27日作成)(底本:「佐々木邦全集 補巻5 王将連盟 短篇」講談社、1975(昭和50)年12月20日第1刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/001750/files/55799_72304.html