とりあえず【取り敢えず・不取敢】(歴史的仮名遣い:とりあへず)
- (もっとも優先させなければならないということが必然的であるというわけではないが、判断を保留してでも)すぐに、第一に。とりいそぎ。なにはさておき。
- (他に優先して行なうべきこともないので)さしあたって。暫定的に、一応。
- 僕は水ぎわの岩に腰かけ、とりあえず食事にとりかかりました。コオンド・ビイフの罐を切ったり、枯れ枝を集めて火をつけたり、――そんなことをしているうちにかれこれ十分はたったでしょう。その間にどこまでも意地の悪い霧はいつかほのぼのと晴れかかりました。(芥川龍之介『河童』)
- 慣用句「取るものも取り敢えず」=(持ってくるべきものも持ってくることができないほど急いで)の略。
- 「とリあえず」=「とり(「取る」の連用形)」+「あえず(「敢う(あふ)」の未然形+打ち消しの助動詞「ず」)」。「敢う(あふ)」は「耐える」、「できる」、「可能とする」の意。