はいはい
- 応答の感動詞「はい」を重ねて強めた言葉。ただし、「はいはい」は、本心では嫌がっていることを表したり、またはそのような意味を表していると受け取られることもある。
- 質問に同意したり、勧誘や命令に応じたりする場合に使う語。
- 「では、川上君にちょっとテレビへ出てもらって、何かしゃべってもらってくれませんか」「はいはい。しょうちしました」千ちゃんはそうこたえて(海野十三「宇宙の迷子」)〔1947年〕[1]
- 「それでいい。つつんでおくれ。」「はいはい。」と、おばあさんは、だんごを竹の皮につつみます。(新美南吉「のら犬」)〔1932年〕[2]
- 呼ばれた時に答える語。
- 「御免なさいよ。」「はいはい。」と軽い返事で、身軽にちょこちょこと茶の間から出た婦は(泉鏡花「国貞えがく」)〔1910年〕[3]
- 松江はうれしそうにふっと笑い、「せんせ」と、いかにもこんどは別の話だというふうによびかけた。「はいはい。なんだかうれしそうね。なあに」(壺井栄「二十四の瞳」)〔1952年〕[4]
- 相鎚を打つのに使う語。
- 劉洋行の店の者が、電話口に出て来た。「はいはい、毎度ありがとうござい。こちは劉洋行でございます」(海野十三「時限爆弾奇譚」)〔1941年〕[5]
- 牛、馬などを進ませる掛け声。
- はいはい、どうどう! 進めや進め、成吉思汗!(林不忘「若き日の成吉思汗」)〔1934年〕[6]
はいはい
- 相手の言うことを否定や疑問を挟むことなく素直に聞くさま。
- しかし彼の云う事を素直にはいはい聴いているとどこまで行ってもはてしがなかった。(夏目漱石「明暗」)〔1917年〕[7]
- わがままと傲慢とを憚らない態度に遭いながら、あれほど虚心にはいはいと世話が出来るだろうか。(宮本百合子「南路」)〔1922年〕[8]
はいはい
- 立って歩くことができない赤ん坊が、四つん這いになって左右の手足を交互に動かしながら移動すること。
- 赤ちゃんは男の児である。肥だちよくくりくりと丸くて、夏の白いベビイ服の短袖から、くびれて可愛い腕がむき出ている。日本でいえば丁度はいはいごろの赤ちゃんである。(宮本百合子「権力の悲劇」)〔1949年〕[9]
はいはい-する
- (自動詞) (主に赤ん坊が)四つん這いになって左右の手足を交互に動かしながら移動する。
- この子たちの育ちを見ていて一番感動したのは一歳ぐらいのとき、はいはいしていたときから立ち上がろうとする瞬間で(野田佳彦、第177回国会財務金融委員会)〔2011年〕[10]
活用と結合例
各活用形の基礎的な結合例
意味 | 語形 | 結合 |
否定 | はいはいしない | 未然形 + ない |
否定(古風) | はいはいせず | 未然形 + ず |
自発・受身 可能・尊敬 | はいはいされる | 未然形 + れる |
丁寧 | はいはいします | 連用形 + ます |
過去・完了・状態 | はいはいした | 連用形 + た |
言い切り | はいはいする | 終止形のみ |
名詞化 | はいはいすること | 連体形 + こと |
仮定条件 | はいはいすれば | 仮定形 + ば |
命令 | はいはいしろ はいはいせよ | 命令形のみ |