存 分(ぞんぶん)
- 思いのまま。満足。思い通り。充分。接続助詞的、副詞的にも用いられる。
- 如水は忽ちかく観じて、長政に全軍をさづけ、大事起らばためらうことなく家康に附して存分の働きを怠るなと言ひ含め、お膳立はできたと九州中津へ引上げる。(坂口安吾「二流の人」)
- 吾輩の足は三寸に足らぬ。よし水の面にからだが浮いて、浮いた所から思う存分前足をのばしたって五寸にあまる甕の縁に爪のかかりようがない。(夏目漱石「吾輩は猫である」)
- さあ遠慮はいらんから、存分御笑いなさい(夏目漱石「吾輩は猫である」)
- (古用法) 考え。意見。
- (古用法) 恨み。遺恨。
- 思いのままのさま。満足なさま。思い通りのさま。
- 勝負は水ものといい負け癖がつくと天下の横綱もだらしなく負け、もっと理知的な、存分に思考の時間を費している碁や将棋でも、存分に考えたあげくあべこべに大悪手をやらかすようなこととなる。(坂口安吾「俗物性と作家」)
活用と結合例
各活用形の基礎的な結合例
意味 |
語形 |
結合
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推量・意志 |
存分だろう |
未然形 + う
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過去・完了 |
存分だった |
連用形 + た
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否定形 |
存分でない |
連用形 + ない
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自動詞化 |
存分になる |
連用形 + なる
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言い切り |
存分だ |
終止形のみ
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名詞化 |
存分なこと |
連体形 + こと
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仮定条件 |
存分ならば |
仮定形 + ば
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様態 |
存分そうだ |
語幹 + そうだ
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