殺伐

日本語

名詞

殺伐（さつばつ）

1. 穏やかな雰囲気が全く感じられず荒々しい状態。
   • ただ残忍と殺伐の点ばかりを見せつけられて、一途に新撰組を憎いものと思い込みました。（中里介山「大菩薩峠」）〔1913年-1941年〕
2. 人を殺すこと。
   • お妻はほとんど狂わんばかりとなり、汝どうしてくれようかと、殺伐の気さえ起こしたのであったが、（国枝史郎「剣侠」）〔1936年〕
   • 槍は正確に、張飛の肩へ当ったが、それは猛虎の髯にふれたも同じで、張飛の酔いをして勃然と遊戯から殺伐へと転向させた（吉川英治「三国志」）〔1939年-1943年〕

形容動詞

殺伐（さつばつ）

1. 穏やかな雰囲気が全く感じられず荒々しい様。
   • 世間のインチキ料理、でたらめ料理にごまかされて生活しておるとすれば、世の中が殺伐になるのは当たり前だ。（北大路魯山人「美食七十年の体験」）〔1954年〕
   • 随分楽しかった思い出の種子もないではございませぬが、何を申してもその頃は殺伐な空気の漲った戦国時代、北條某とやら申す老獪い成上り者から戦闘を挑まれ、（浅野和三郎「霊界通信　小桜姫物語」）〔1937年〕
   • けれども一度その殺伐たる生活より醒めて、深く、もの静かな、また切実な宗教的な気分に帰って以来、この心は深く、優しく、まことあるものとなっていた。（倉田百三「愛と認識との出発」）〔1920年〕
   • そこに戦争、出征が続いたので殺伐とした軍隊の雰囲気から、ぼくのほうにそんな妻でも稀に逢ったり、慰問品を送られると天使のように優しい錯覚があり、（田中英光「さようなら」）〔1949年〕

活用

活用と結合例

殺伐 形容動詞活用表（日本語の活用）

タルト活用
語幹	未然形	連用形	終止形	連体形	仮定形	命令形
殺伐	(無し)	と	(無し)	たる	(無し)	(無し)

各活用形の基礎的な結合例

意味	語形	結合
自動詞化	殺伐とする	連用形 + する
名詞化	殺伐たること	連体形 + こと

活用と結合例

殺伐-だ 形容動詞活用表（日本語の活用）

ダ活用
語幹	未然形	連用形	終止形	連体形	仮定形	命令形
殺伐	だろ	だっ で に	だ	な	なら	(無し)

各活用形の基礎的な結合例

意味	語形	結合
推量・意志	殺伐だろう	未然形 + う
過去・完了	殺伐だった	連用形 + た
否定形	殺伐でない	連用形 + ない
自動詞化	殺伐になる	連用形 + なる
言い切り	殺伐だ	終止形のみ
名詞化	殺伐なこと	連体形 + こと
仮定条件	殺伐ならば	仮定形 + ば
様態	殺伐そうだ	語幹 + そうだ

動詞

殺伐-する（さつばつ-する）

1. 人を殺す。
   • 「一匹も生かすな」殺伐するに仮借のない張飛は、歩むところに朱をのこしながら胴の間を濶歩した。（吉川英治「三国志」）〔1939年-1943年〕

活用

活用と結合例

殺伐-する 動詞活用表（日本語の活用）

サ行変格活用
語幹	未然形	連用形	終止形	連体形	仮定形	命令形
殺伐	し せ さ	し	する	する	すれ	しろ せよ

各活用形の基礎的な結合例

意味	語形	結合
否定	殺伐しない	未然形 + ない
否定(古風)	殺伐せず	未然形 + ず
自発・受身 可能・尊敬	殺伐される	未然形 + れる
丁寧	殺伐します	連用形 + ます
過去・完了・状態	殺伐した	連用形 + た
言い切り	殺伐する	終止形のみ
名詞化	殺伐すること	連体形 + こと
仮定条件	殺伐すれば	仮定形 + ば
命令	殺伐しろ 殺伐せよ	命令形のみ

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中国語

名詞

殺伐  (簡): 杀伐 (ピンイン:shāfá　注音符号:ㄕㄚㄈㄚ)

1. 戦（たたか）い

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朝鮮語

名詞

• ハングル表記:살벌

1. （日本語に同じ）殺伐

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