日本語

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動詞

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じる (だんじる)

  1. (自動詞) 会話する。対話する。話す
    • 1935年、太宰治「ダス・ゲマイネ」[1]
      彼が異国人と夜のまったく明けはなれるまで談じ合うほど語学ができるかどうか、そういうことからして怪しいもんだと私は思っている。
    • 1943年、徳永直「光をかかぐる人々」[2]
      八月五日には建造中の船の事で昌造と談じ、九月七日には「雨、出テ蒸汽船製造場ニ過タル、船ノ形、頗ル成ル」と書いてゐる。
    • 1946年、神西清「灰色の眼の女」[3]
      しかしイリリヤは挫けなかつた。彼女はすぐに立直つて、今度は蚕種や繭種の研究を真剣にはじめるのである。そしてブラウエンベルグ氏をつかまへて、何やら熱心に夕暮ちかくまでも談じ込んだりする。
  2. (他動詞) ~を語る。~について話す。~を論じる
    • 1939年、吉川英治「茶漬三略」[4]
      細川殿は和歌の道に造詣が深かった。美術、文学、天文、兵学、そして時事を談じ、一転して、食味のはなしや、笛、蹴鞠の事、流行の連歌の評やら――殆ど尽くるを知らなかった。
    • 1946年、豊島与志雄「塩花」[5]
      その後は雑談で、山口としては、政治界の内幕などを大に談じたかったのだが、吉村氏はただ簡単な返事をするきりで、いつもそっぽを向いていた。
    • 1948年、太宰治「渡り鳥」[6]
      飲みましょう、文学を談じましょう。文学論は、面白いものですね。ああ、新人と逢えば新人、老大家と逢えば老大家、自然に気持がそうなって行くんですから面白いですよ。

活用

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だん-じる 動詞活用表日本語の活用
ザ行上一段活用
語幹 未然形 連用形 終止形 連体形 仮定形 命令形
だん じる じる じれ じよ
じろ
各活用形の基礎的な結合例
意味 語形 結合
否定 だんじない 未然形 + ない
意志・勧誘 だんじよう 未然形 + よう
丁寧 だんじます 連用形 + ます
過去・完了・状態 だんじた 連用形 +
言い切り だんじる 終止形のみ
名詞化 だんじること 連体形 + こと
仮定条件 だんじれば 仮定形 +
命令 だんじよ
だんじろ
命令形のみ

複合語

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  1. 青空文庫、2004年2月23日作成(底本:「走れメロス」新潮文庫、新潮社、1989(平成元)年6月10日50刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/000035/files/42945_14904.html
  2. 青空文庫、2010年1月22日作成(底本:「光をかかぐる人々」河出書房、1943(昭和18)年11月20日初版)https://www.aozora.gr.jp/cards/001308/files/50066_38025.html
  3. 青空文庫、2012年1月15日作成(底本:「雪の宿り 神西清小説セレクション」港の人、2008(平成20)年10月5日初版第1刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/001157/files/49847_46683.html
  4. 青空文庫、2013年1月23日作成(底本:「柳生月影抄 名作短編集(二)」吉川英治歴史時代文庫、講談社、2007(平成19)年4月20日第12刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/001562/files/52453_49999.html
  5. 青空文庫、2007年11月27日作成(底本:「豊島与志雄著作集 第四巻(小説Ⅳ)」未来社、1965(昭和40)年6月25日第1刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/000906/files/42720_28797.html
  6. 青空文庫、2000年1月25日公開、2004年3月4日修正(底本:「太宰治全集9」ちくま文庫、筑摩書房、1998(平成10)年6月15日第5刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/000035/files/2295_15090.html