- (東京式) ふかく [fùkákú] (平板型 – [0])
- IPA(?): [ɸɯ̟ᵝka̠kɯ̟ᵝ]
不覚 (ふかく)
- 意識がしっかりしていないこと。
- ことに拙者なども、霊魂は死後、一時不覚の状態に帰するものと信じております。(井上円了『通俗講義 霊魂不滅論』)〔1906年〕[1]
- 注意や意識の外にあること。またそのせいで起きた失敗。油断。
- 私はその最終回の最後の行をかいて、ペンを置いたとき、不覚の涙を落した。終戦後、小説を書き終って涙が出たのは、この『花と龍』と、『青春と泥濘』との二つだけだ。(火野葦平『花と龍』「あとがき」)〔1953年〕[2]
- 注意や意識の外にある状態。
- そして、この地で入用なだけをヨハンの云うまま預金の中から出して貰うとき、不覚なことにも、日本を出発に際して銀行員の記入した紀元年数に、一年の間違いあることを指摘された。 (横光利一『罌粟の中』)〔1946年〕[3]
活用と結合例
各活用形の基礎的な結合例
意味 |
語形 |
結合
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推量・意志 |
不覚だろう |
未然形 + う
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過去・完了 |
不覚だった |
連用形 + た
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否定形 |
不覚でない |
連用形 + ない
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自動詞化 |
不覚になる |
連用形 + なる
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言い切り |
不覚だ |
終止形のみ
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名詞化 |
不覚なこと |
連体形 + こと
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仮定条件 |
不覚ならば |
仮定形 + ば
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様態 |
不覚そうだ |
語幹 + そうだ
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