日本語

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動詞

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する (きする)

  1. (他動詞, 文章語) (「□□を△△に帰する」で)□□の責任原因の所在を△△にあると特定する。□□の結論を△△と確定する。
    • 1927年、黒島伝治「橇」[1]
      大隊長は、兵卒を橇にして乗る訳には行かなかった。彼は橇が逃げてしまったのを部下の不注意のせいに帰して、そこらあたりに居る者をどなりつけたり、軍刀で雪を叩いたりした。
    • 1935年、寺田寅彦「日本人の自然観」[2]
      そうした温帯の中でも日本はまた他の国と比べていろいろな特異性をもっている。そのおもな原因は日本が大陸の周縁であると同時にまた環海の島嶼であるという事実に帰することができるようである。
    • 1938年、宮本百合子「文学の流れ」[3]
      或る種の人々はこれまでの作家の怠慢さにその原因を帰するけれども、果してそれだけのことであろうか。
    • 1994年、富田倫生「パソコン創世記」[4]
      では、なぜ彼らは、パーソナルコンピューターに飛びついていったのか――。その理由をたった一言に帰するほど、私は自信家でもありませんし強引でもないつもりです。
  2. (自動詞, 文章語) (「○○は△△に帰する」で)○○の責任原因の所在は△△にある。○○の結論は△△と確定される。
    • 1946年、中谷宇吉郎「硝子を破る者」[5]
      今一番恐しいものは、インフレーションと食糧問題とである。この両者は結局は同じもので、生産低下の問題に帰する
    • 1952年、相馬愛蔵「私の小売商道」[6]
      東京人は概して安値よりも品質の精良を好む習慣がある。しかも一般の趨勢が追々に贅沢に傾きつつあるから、今後の競争の要点は品質の精良と確実とに帰する
  3. (自動詞, 文章語) (「△△に帰する」で)最終的に△△になる。結果として△△の状況至る帰着する。
    • 1934年、国枝史郎「猫の蚤とり武士」[7]
      この辺で如上の計画を、そろそろ実行しなかろうものなら、ついには画餅に帰するかもしれない。
    • 1948年、太宰治「家庭の幸福」[8]
      困るのは、あなたたちだけでしょう。何せ、クビになるんだから。何十年かの勤続も水泡に帰するんだから。そうして、あなたの妻子が泣くんだから。
  4. (自動詞, 文章語) (「~に帰する」で)~に従う。~のものとなる。
    • 1926年、田中貢太郎「日本天変地異記」[9]
      慶長五年の関ヶ原の役で、天下の権勢が徳川氏に帰すると共に、江戸時代三百年の平和期が来たが、
    • 1933年、菊池寛「山崎合戦」[10]
      しかし、天王山が秀吉軍に帰し、そのほうから横撃されては、万事すでに去ったと云うべく、それと同時に洞ヶ峠にいた筒井順慶の大軍が裏切りして淀川を渡り、光秀の背後に襲いかかって来た。
  5. (自動詞, 文章語) (「~に帰する」で)~を信仰する。~に帰依する。
    • 1937年、倉田百三「光り合ういのち」[11]
      叔母が浄土真宗に帰するということはまことに種が畑に落ちるように自然であった。そしてこの不幸な夫婦が破綻せずに、終りを完うしたのはまったく二人の間の共同の「信」のためであった。
    • 1940年、和辻哲郎「日本精神史研究 改訂版」[12]
      釈迦は何ゆえに太子の位置を捨てて乞食となったか。財宝を分かち与え所領を均分することによって一切の問題が解かれるならば、彼は王となってそれを実行したはずである。王侯が仏に帰する第一歩は乞食となることでなくてはならない。

活用

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-する 動詞活用表日本語の活用
サ行変格活用
語幹 未然形 連用形 終止形 連体形 仮定形 命令形


する する すれ せよ
しろ
各活用形の基礎的な結合例
意味 語形 結合
否定 しない 未然形 + ない
否定 せず 未然形 +
自発・受身
可能・尊敬
される 未然形 + れる
丁寧 します 連用形 + ます
過去・完了・状態 した 連用形 +
言い切り する 終止形のみ
名詞化 すること 連体形 + こと
仮定条件 すれば 仮定形 +
命令 せよ
しろ
命令形のみ

翻訳

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語義1

語義2

  1. 青空文庫(2000年12月7日公開、2006年3月17日修正。底本:「現代日本文學大系 56 葉山嘉樹・黒島伝治・平林たい子集」筑摩書房 、1971(昭和46)年7月15日初版第1刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/000037/files/1417_22265.html
  2. 青空文庫(2003年11月11日作成。底本:「寺田寅彦随筆集 第五巻」岩波文庫、岩波書店、1997(平成9)年9月5日第65刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/000042/files/2510_13846.html
  3. 青空文庫(2003年2月17日作成。底本:「宮本百合子全集 第十一巻」新日本出版社、1986(昭和61)年3月20日第5刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/000311/files/2797_8839.html
  4. 青空文庫(1997年9月5日公開、2013年8月16日修正、CC BY 2.1 JP公開、底本:「エキスパンドブック版 パソコン創世記」ボイジャー、1995年2月)https://www.aozora.gr.jp/cards/000055/files/365_51267.html
  5. 青空文庫(2013年1月4日作成。底本:「中谷宇吉郎随筆集」岩波文庫、岩波書店、2011(平成23)年1月6日第26刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/001569/files/53229_49832.html
  6. 青空文庫(2004年12月11日作成、2011年4月4日修正。底本:「相馬愛蔵・黒光著作集4」郷土出版社、1981(昭和56)年6月5日初版)https://www.aozora.gr.jp/cards/001147/files/43527_17334.html
  7. 青空文庫(2020年9月28日作成。底本:「猫の蚤とり武士(上)」「猫の蚤とり武士(下)」国枝史郎伝奇文庫、講談社、1976(昭和51)年8月12日第1刷発行)https://www.aozora.gr.jp/cards/000255/files/49836_71913.html
  8. 青空文庫(1999年1月1日公開、2011年10月5日修正。底本:「ヴィヨンの妻」新潮文庫、新潮社、1985(昭和60)年10月30日63刷改版)https://www.aozora.gr.jp/cards/000035/files/282_45418.html
  9. 青空文庫(2003年8月27日作成。底本:「貢太郎見聞録」中公文庫、中央公論社、1982(昭和57)年6月10日発行)https://www.aozora.gr.jp/cards/000154/files/4288_12095.html
  10. 青空文庫(2009年9月10日作成。底本:「日本合戦譚」文春文庫、文藝春秋社 、1987(昭和62)年2月10日第1刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/000083/files/1364_36750.html
  11. 青空文庫(2012年8月31日作成。底本:「光り合ういのち」(人間の記録121)、日本図書センター、2001(平成13)年9月25日第1刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/000256/files/43840_48692.html
  12. 青空文庫(2017年12月10日作成。底本:「日本精神史研究」岩波文庫、岩波書店、2007(平成19)年1月25日第16刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/001395/files/49905_63366.html