なげる【投げる】
- (他動詞) 手に持った物に勢いを与えて中に放つ。投ずる。投じる。
- バレーのボールが飛んで来る。節子それを拾って投げる。とたんに作業開始のベル。(織田作之助「四つの都」)〔1944年〕[1]
- (他動詞) 取り組んでいる物事を諦める。(囲碁・将棋など)投了する。
- 『為方がない、交際だもの。』と投げる様に言つて、敷居際に腰を下した。(石川啄木「鳥影」)〔1908年〕[2]
- 豊島大将を始め至って弱気ですぐ投げたり諦めたりしてしまうから、他流試合には全然ダメで、勝つのは尾崎と僕だけだ。(坂口安吾「文人囲碁会」)[3]
- (他動詞) 無形のものを発する。
- 自分の生活に向って、俺の知ったことか! という言葉を投げる者は、既にもう救われざる破滅に陥っているのである。(豊島与志雄「生活について」)〔1924年〕[4]
- ファニーは父の方に訴えるような眼つきを投げたが、とうとう従順に母の膝に頭を埋めた。(有島武郎「フランセスの顔」)〔1916年〕[5]
- 松杉楢などの疎に生えた林の中には、落ちかかった斜陽が微な光を投げていた。(田中貢太郎「藤の瓔珞」)[6]
- (北海道、東北地方の方言)捨てる
活用と結合例
各活用形の基礎的な結合例
意味 | 語形 | 結合 |
否定 | なげない | 未然形 + ない |
意志・勧誘 | なげよう | 未然形 + よう |
丁寧 | なげます | 連用形 + ます |
過去・完了・状態 | なげた | 連用形 + た |
言い切り | なげる | 終止形のみ |
名詞化 | なげること | 連体形 + こと |
仮定条件 | なげれば | 仮定形 + ば |
命令 | なげろ なげよ | 命令形のみ |