日本語

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発音

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名詞

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段落(いちだんらく)

  1. 文章中のひとつ段落
    • 1934年、海野十三「蠅」[1]
      そして最後に、自分が夢遊病者であって、妻を殺してしまったというところまで考えると、それで一段落になるのです。そのときは、いかにも小説の筋が出来たというように、大はしゃぎに跳ねまわるのです。
  2. 物事区切り連続して続いていた事象一旦終わる、あるいは落ち着いた状態になるところ。
    • 1915年、夏目漱石「硝子戸の中」[2]
      私はこれで一段落ついたものと思って、例の坂越の男の事を、それぎり念頭に置かなかった。

用法

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  • 「ひとだんらく」と読まれることがあるが、これは誤読ともされる。この読みでは語義2に対して使うことが多い。
    • 2006年、大久保ゆう訳、アンドルー・ラング「シンデレラ」[3]
      うばは、ひとだんらくをつけて、シンデレラにいいました。
    • 2012年、内閣府「ゲートキーパー養成研修用テキスト」[4]
      避難所出て仮設に⼊った時はひとだんらく...ってほっとしたんだけど...

類義語

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動詞

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段落-する(いちだんらく-する)

  1. (自動詞) 連続して続いていた事象が)一旦終わる落ち着いた状態になる。
    • 1943年、宮本百合子「獄中への手紙」[5]
      火曜日は、前日に五ヵ月ぶりで用事が一段落し、それも初め考えて居たよりすらりとまとまったので、やっとのんびりした気分で、それをあなたにもおつたえしたい心持でした。
    • 1945年、太宰治「お伽草紙」[6]
      母の苦情が一段落すると、こんどは、五歳の女の子が、もう壕から出ませう、と主張しはじめる。

活用

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  1. 青空文庫(2005年5月26日作成)(底本:「海野十三全集 第2巻 俘囚」三一書房、1991(平成3)年2月28日第1版第1刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/000160/files/1249_18627.html
  2. 青空文庫(1999年8月22日公開、2012年9月9日修正)(底本:「夏目漱石全集10」ちくま文庫、筑摩書房、1988(昭和63)年7月26日第1刷)https://www.aozora.gr.jp/cards/000148/files/760_14940.html
  3. 青空文庫(2014年3月25日作成、CC BY 2.1 JP公開)(底本:Lang, Andrew (1889) "Cinderella, or the Little Glass Slipper")https://www.aozora.gr.jp/cards/001239/files/46348_23182.html
  4. 『ゲートキーパー養成研修用テキスト(第2版)』「11.ロールプレイシナリオ(被災地対応編) 仮設住宅編 ご遺族対応」(厚生労働省ホームページ)政府標準利用規約(第2.0版)公開 https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12200000-Shakaiengokyokushougaihokenfukushibu/11-2-1-2.pdf 2020年10月7日参照。
  5. 青空文庫(2005年1月4日作成)(底本:「宮本百合子全集 第二十二巻」新日本出版社、1986(昭和61)年3月20日第4刷発行)https://www.aozora.gr.jp/cards/000311/files/33192_17354.html
  6. 青空文庫(2000年1月13日公開、2004年2月23日修正)(底本:「太宰治全集第七巻」筑摩書房、1990(平成2)年6月27日初版第1刷発行)https://www.aozora.gr.jp/cards/000035/files/307_14909.html