瓦全 (がぜん)
- 何もせずいたずらに保身し生き長らえること。
- 若し眼前の小利小康からいへば、蜀の險阻を守つて、北伐などを企てぬ方が得策かも知れぬ。併し此の如きは所謂瓦全で、蜀の自殺に外ならぬ。(桑原隲藏 『支那史上の偉人(孔子と孔明)』)
- 友よ、自分は君の所謂「動物力」によつて未だに生きてゐる。さうしてその「動物力」の使嗾によつて自分たちの瓦全を何か意味あることのやうに思ひ、且つは君の玉碎を惜み悲しんでゐる。(佐藤春夫 『芥川龍之介を哭す』)
- 失敗を恐れ、あえて、挑戦せず凡庸な結果に満足すること。
- 即ち、凡庸事を内容とする巧なる作品の過多である。作者の方では、なるべく手頃な材料をなるべく巧に描かんとする。評者の方では、描写の巧拙を以て作品の価値を律せんとする。両者相俟って、玉砕を捨て瓦全を取らんとするに至る。(豊島与志雄 『小説の内容論』)
活用と結合例
各活用形の基礎的な結合例
意味 |
語形 |
結合
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否定 |
瓦全しない |
未然形 + ない
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否定(古風) |
瓦全せず |
未然形 + ず
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自発・受身 可能・尊敬 |
瓦全される |
未然形 + れる
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丁寧 |
瓦全します |
連用形 + ます
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過去・完了・状態 |
瓦全した |
連用形 + た
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言い切り |
瓦全する |
終止形のみ
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名詞化 |
瓦全すること |
連体形 + こと
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仮定条件 |
瓦全すれば |
仮定形 + ば
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命令 |
瓦全しろ 瓦全せよ |
命令形のみ
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瓦 全 (wǎquán)
- 気節を失い生き永らえること。